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3Dプリンターで拳銃を作った男が逮捕
新しい技術は犯罪の形態を変えてしまうのか

降旗 学 [ノンフィクションライター]
【第73回】 2014年5月16日
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 3Dプリンターを使い、拳銃を製造していた男が、今月八日に逮捕された。

 捕まったのは、今年四月に湘南工科大の契約社員になったばかりの居村佳知容疑者だが、事件が異色だったのは、押収された拳銃五丁が本物ではなく、3Dプリンターで製造されたお手製だったことだ。日本では初のケースである。

 神奈川県警は、この居村容疑者に早い段階から目をつけていたらしい。

 居村容疑者は、動画投稿サイトに自分が作った拳銃の“発砲シーン”をアップしたり、実際に作った銃の設計図までネット上で公開してもいた。さらには、ツイッターでも、

 「銃を持つのは基本的人権。銃を規制する動きに立ち向かう」

 などと発言していたとのことだ。欧米かッ! ちょっと古いか。でも、チャールトン・ヘストンも草葉の陰で、でかした、と言っているだろう。彼は全米ライフル協会の元会長で、アメリカの銃規制法案に徹底的に反発した銃擁護派だ。

 という話は措いといても、無防備に動画を公開したりしたから、県警にマークされたんだよ。ツイートは、受け止めようによっては、法律への挑戦だったり、警察への挑発のようにも感じられるしー。

 居村容疑者の逮捕理由は、銃刀法違反(所持)容疑だ。

 押収した拳銃の二丁に、金属製の弾丸を入れ発射したところ、暑さ二・五ミリのベニヤ版をそれぞれ十一枚、十五枚も撃ち抜くほどの威力があったそうだ。そうなれば、たとえ3Dプリンターで製造した銃でも充分に殺傷能力があり、銃刀法に値すると県警は判断した。

 「設計図に改良を重ね、銃を自作した。手製拳銃二丁を拳銃と認定したなら、逮捕されても仕方がない」

 取り調べで、居村容疑者はこう供述しているという。さらには、

 「体力的に弱い者の自衛手段のため、銃が必要だと思っていた。日本では銃を持つことが許されないので、自分が作ればいいと思った」。

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降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


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