3月末にネット上で公開され、記録的な大ヒットを飛ばした記事がある。「15歳までの子どもがいる人は1万円をもらおう! 『子育て世帯臨時特例給付金』のすすめ!」という記事で、消費税増税に伴い、子育て世帯が申請すれば臨時給付金が支給されることを伝えるものだった。記事のコメント欄には、読者の「知らなかった」「情報をありがとう!」という声が溢れた。この記事がこれだけシェアされたということは、春からの申請開始(自治体によって申請開始時期は異なる)を前にして、主に新聞などの紙媒体を通じて以前から行われていた政府の情報告知が、国民に届いていなかったことを意味する。「情報が蔓延している」と言われる時代において、なぜこうした「情報格差」が起きるのか。必要な人に必要な情報を届けるためには、何が必要なのか。ネット時代の「伝える力」について考えたい。(取材・文/プレスラボ・小川たまか)

「知らなかった!」「ありがとう!」
ネットで爆発した給付金のニュース

「知りませんでした」「情報をありがとうございます」「シェアします」――。

 3月25日に配信されたその記事のコメント欄には、情報を伝えてくれたことに対する感謝の言葉が溢れた。ツイート数4.38万、シェア数48万(5月15日現在)。これがとんでもない数字だということは、ネットで記事をよく読む人であれば推測がつくだろう。これがダイヤモンド・オンラインの記事でなかったことは、非常に残念だ。

 記事のタイトルは「15歳までの子どもがいる人は1万円をもらおう! 『子育て世帯臨時特例給付金』のすすめ!」。記事の執筆者はNPO法人ほっとプラス代表理事で、社会福祉士の藤田孝典氏だ。発表された媒体は、ヤフーが運営する「Yahoo!ニュース」の中の「個人」カテゴリ。様々な分野の専門家や識者などが「オーサー」となり、記事を独自に執筆するコーナーである。

 記事の内容は、消費税増税に伴い、児童手当を支給されている15歳以下の子育て世帯は、申請すれば1万円の「子育て世帯臨時特例給付金」を受け取ることができる、というものだった。子育て世帯がこのニュースをシェアしているのを目にした人も、多いかもしれない。