IMFの介入と、
サムスン電子躍進のつながり

 欧米の投資銀行は「これからはアジアだ!」と投資家を煽り、アジア諸国の通貨と株式を買い占めた結果、バブル経済が起こります。やがてバブルが崩壊。タイの通貨バーツの暴落に始まり、アジア通貨危機(1997―98年)が発生します。

 韓国の通貨ウォンも暴落。韓国銀行はドルを売ってウォンを買い支えようとしますが、手持ちのドルが底を尽きます。財政破綻寸前に陥った韓国政府の要請によりIMFが介入し、韓国支援の条件として増税と公務員の削減、財閥の解体などを命じます。街には失業者があふれ、「朝鮮戦争以来、最大の国難」と呼ばれました。

 不採算部門を整理した韓国経済は、その後見事に復活しますが、立ち直った銀行や輸出産業は、株式の多くを外国人投資家が握る多国籍企業となり、ひと握りの財閥が経済を支えるようになります。携帯電話やテレビでおなじみのサムスン財閥が、その代表です。

 1970年代以降、IMFが救済した国― イギリス、ロシア、アルゼンチンは、いずれも内政干渉まがいの厳しい財政再建策を強要され、公務員削減、規制緩和など経済の自由化に踏み切りました。

 続いて、世界銀行(国際復興開発銀行/IBRD)を見てみましょう。