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山崎元のマネー経済の歩き方

三種類の日本悲観論を考える。

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第93回】 2009年9月7日
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 日本悲観論の中で最も影響力のあるのは財政破綻論だろう。日本政府の債務はGDPの170%以上に達しており、日本の破綻は不可避だという。「破綻」の内容は、ハイパー・インフレを含めて複数あるが、日本におカネを置いておくことは危険だと主張する。

 確かに、日本政府の財政は普通ではないが、財政破綻の危機にあるとは決めつけられない。

 まず「純債務」で見るとGDPの6割程度でイタリア並みだ。

 また財政破綻の可能性が大きいものなら、なぜ日本の国債にこんなに買い手がいるのか。10年国債の利回りは現在1.5%を切る。しかも、日本国債の9割以上は国内の投資家が保有する。かつてのアルゼンチン、韓国のように海外投資家の動きで危機に陥る心配は乏しい。それに、日本の国債残高の最適に関する議論は(少なくとも認められた結論は)存在しない。じつは、日本の国債はこれでもまだ不足なのかもしれないのだ。

 一時はアフリカの小国ボツワナと同格付けとされた日本国債の信用格付けだが、格付け会社ムーディーズは、昨年、今年と一段階ずつ格上げした。この間、金融危機に不況に財政赤字の拡大とよい変化はなにもなかった。はっきりいって、これはもともとが間違っていたのだろうが、彼らが認識を改めざるをえない状況であることは重要だ。

 加えて、現在、不況とともにデフレ(物価下落)が問題だが、デフレとは国の債務である貨幣価値の上昇であり、意味的には、国の債務への過剰な信認だ。それに、「長期金利が上昇したら大変だ」と言う人もいるが、不況でデフレでは金利は上昇のしようがない。
 日本の財政に問題がないとは言わないが(問題は歳入側よりも歳出側にある)、現在の状況が財政危機で日本国債が危ないというのはあまりに「金融音痴」の言い草だ。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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12社を渡り歩いた資産運用の現場に一貫して携わってきた視点から、「資産運用」の方法をどう考えるべきか懇切丁寧に説く。投資家にもわかりやすい投資の考え方を伝授。

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