■見切り売りが強まる局面も
先週の日経平均は下落。ウクライナ情勢や米国株式相場の動向などに左右させられる
展開となった。また、決算発表がピークを迎えるなか、決算内容に敏感に反応をみせ
る展開でもあった。そのほか、米モメンタム株が落ち着きをみせるなか、
KADOKAWA<9477>とドワンゴ<3715>の統合をキッカケに、娯楽関連としてアニメやSNS
ゲームなど中小型株への物色に広がりをみせる流れも。M&Aなどによる業界再編の動
きなどから、押し目拾いの動きが次第に強まる局面もみられた。
しかし、週後半は米株安の影響から連日のギャップ・ダウンで始まると、全体として
はこう着ながらも、インパクトの大きいソフトバンク<9984>の下げが中小型株への需
給に影響与える格好となった。決算が影響している面はあるものの、個人のセンチメ
ントが冷やされるなか、週末には見切り売りが強まる局面も。
■日銀の金融政策決定会合に関心
引き続き不安定な相場展開が見込まれるなか、今週は20-21日の日銀の金融政策決定
会合に関心が集まりそうである。足元では14年1-3月期のGDP1次速報を踏まえ、日本
経済は消費増税の悪影響を乗り越えるとして、緩和期待が後退してきている。野村で
は追加緩和策を導入する時期について、従来の7月から、日銀が想定するインフレ率
と実際のインフレ率が乖離することが明確となる10月に変更している。
もっとも、現状維持がコンセンサスと考えられるものの、日経平均が節目の14000円
での攻防となるなか、市場は催促相場的な動きをみせてくる可能性がありそうだ。ま
た、4月のマンション発売、4月の百貨店売上高、4月の全国スーパー売上高、4月のパ
ソコン出荷などが予定されている。増税後の影響がどの程度出ているかが注目される
ため、結果次第では緩和期待の後退若しくは再燃する可能性がある。また、市場がや
や波乱含みの展開となるようだと、財務相や経済再生相など閣僚発言なども飛び出し
やすいタイミングだろう。これらを受けて先物主導で仕掛け的な商いが活発化しやす
く、株式市場は翻弄されやすい。
■リスクオフムードが強まる可能性
そのほか、先週、米国10年債利回りが一時節目の2.5%を割り込んだ。ギリシャ政権
崩壊リスクの見方が浮上したようだが、米国の経済指標にも弱いものが目立つなか、
一段と低下するようだと、リスクオフムードが強まる可能性がある。円相場は再び1
ドル101円台半ばでの推移となるなか、調整局面での押し目買い意欲は高まりづらい
ところか。週末にはウクライナで大統領選が予定されており、緊張が続くウクライナ
情勢も様子見要因につながるだろう。
外部環境次第の面はあるが、日経平均は14000円でのボトム意識は高まりづらく、買
い指値が入りづらい需給状況の中、小さいエネルギーでも大きく振れしやすくなる。
オーバーシュート気味に価格が形成される可能性もあるため、しばらくは見極めムー
ドがくすぶる。流動性の観点から、主力処に資金が向かいやすいだろう。
■決算通過で選別物色、成長戦略への思惑も
なお、決算発表がピークを通過したことで、改めて決算内容を手掛かりとした物色が
注目されるところではあるが、積極的な資金流入は期待しづらい中では、より選別色
が強まる展開に。今後は6月発表予定の成長戦略への期待感も高まりやすく、政策期
待に関連する銘柄などへの物色が意識されてくる可能性もあろう。
そのほか、経済指標では3月の機械受注、4月の貿易収支、4月の鉄鋼生産、4月の民生
電子機器国内出荷など。海外では、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録、MBA住宅
ローン申請、米4月の中古住宅販売、米4月の景気先行指標総合指数、欧5月のユーロ
圏総合景気指数、欧5月のユーロ圏サービス業景気指数、中5月のHSBC製造業PMI、中4
月の景気先行指数(米民間調査)などが予定されている。