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岸博幸のクリエイティブ国富論

米国発ソーシャルキャピタル革命に見る
地方経済活性化の“現実的な”ヒント

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第10回】 2008年10月10日
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 前回は、クリエイティブ産業が地方の活性化に貢献できることを説明しました。今回は、地方のマスメディアをどのように活用すべきか、またクリエイティブ・クラスの人が少ない地方はどうすべきかを考えたいと思います。両方の面で、現実的な地方活性化のアプローチが可能なのです。

地方のマスメディアは
地元のソフトパワーを引き出そう

 ローカル放送局や地方新聞社は、マスメディアの中でも広告収入の落ち込みが特に激しく、経営的に大変な状況になっています。ローカル局は自主番組制作比率が10%程度で残りは系列キー局の番組を再送信するだけ、地方紙は地元のニュース以外の大半は通信社の記事をキャリーするだけと、これまで経営が不在の状態でしたので、やむを得ません。

 その延長で、これまでは地域の活性化が叫ばれても、ローカルメディアの貢献が議論されることもありませんでした。しかし、現実問題として地方活性化を実現できる地元のプレイヤーがいない(自治体は使い物にならない、地元企業は疲弊している、NPOは弱い)中で、ローカルメディアは最後の砦になり得るのです。

 そして、地元の活性化に取り組むことは、ローカルメディアが新たなビジネスモデルを確立することにつながるのです。詳細は省略しますが、そのポイントは、デジタル時代におけるマスメディアのコアコンピタンスである制作力とブランド力を最大限活用することに尽きます。

 まず、地元のクリエイティブ産業の振興のためには、地元の伝統・文化や環境を美しい映像で収録し、それを地元と全国に発信することが役立ちます。地元では電波や紙を使えますし、県域規制の下でも全国にはネットを使って出せます。ローカルメディアは、制作力を強化して地元のソフトパワーの宣伝に注力すべきなのです。それが、地元の交流人口の増大と自社の広告収入の増大につながり得るはずです。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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メディアや文化などソフトパワーを総称する「クリエイティブ産業」なる新概念が注目を集めている。その正しい捉え方と実践法を経済政策の論客が説く。

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