東京株式市場は金融相場から業績相場に移行してきたのではないだろうか。足元では景況感の改善が株式市場を牽引してきたが、先読みするマーケットは次のステージを意識し始めたのだろう。

 株式相場と景気とは密接なつながりを持っている。好況のときは相場が活況、不況のときは相場が低迷するもの。しかし、もう少し細かく見れば次の4つのステージに分類されるという考え方がある。

 不況のときに景気対策の一環として金融緩和政策などが実施され、余剰資金が株式市場に流れることから相場が上昇する「金融相場」(1)。次第に景気がよくなって企業業績が改善し相場が上昇する「業績相場」(2)。そして景気過熱で金融引き締め政策が行なわれ、株式相場が低迷する「逆金融相場」(3)。引き締め政策を受けて景気が落ち込み、企業業績も冴えなくなることで相場が一段と調整する「逆業績相場」(4)の4つだ。

 世界経済の急降下を前にして、世界中の国々が揃って金融・財政の両政策を実施。これを評価した(1)が2009年春頃から始まったと考えられる。

 その後、一時的な調整を交えながら、09年夏頃からは政策効果が企業業績に反映される、もしくはそれに期待した(2)へと移行してきた可能性がある。

 多少の違いこそあれ日米中の株価動向を見れば、そのとおりの動きと解釈できよう(図1参照)。わが国においても、7月下旬から8月初旬にかけて発表された企業決算では慎重姿勢を保ちながらも改善が感じ取れた。