何かを得たいのであれば、「恥ずかしい」を乗り越えなければならない

 そう。だって、「言われるがままホテルに帰って、日本に戻って、何か得るものはあるか?」って考えたら、何もなかったから。もちろん、受付の前に日本人が長時間居座っていると目立つし、変な目で見られるし、決して歓迎されていないのはわかるから、ものすごい心理的な負担は大きかった。でも、何か起こるか起こらないかとしたら、少しでも起こる方に賭けたくなったんですよ。

白木 やるかやめるか、どちらかしかないですものね。

やめるのって本当に楽で簡単です。むしろ、やめることが常識。やることは非常識。でも、あとあと人に話して面白がられるのは、非常識な行動をとった話じゃないですか。だから、待てるだけ待とう、と。

白木 やっぱり「ネタになるかどうか」は重要なんですね(笑)。

 それに、待って自分が失うものって何もないなと思って。それどころか、もし、結局会えなかったとしても、あとあと日本で「お前、どれくらい待ったんだよ」と聞かれたとき、「いやー、3時間粘ったんだけど」という話題になるでしょう? その方が面白いな、と(笑)。それに、何かビジネスチャンスがあるときにこの話をしたら、熱意も伝わるじゃないですか。

白木 そうですね。結局、GMにはお会いできたんですか?

 そう、それがラッキーなことに、3時間経ったころ、受付のお姉さんが不憫に思ったのかGMの右腕の方に会わせてくれたんです。

白木 すごいですね!

南 そこから直接ビジネスにつながることはなかったけれど、確実に人生の積み重ねになりましたね。今もこうしてお話できているわけですし。

白木 私も、悩んだ末に起業していろいろな壁を乗り越えて学んだのは、何かを得たいと思うのであれば「恥ずかしい」を乗り越えないといけない、ということでした。恥ずかしいのは人と違うことをするからこそ生まれる感情です。でも、その違いにこそ価値があるんですよね。

 そのとおりだと思います。リスクっていろいろ頭をよぎってしまうんですけど、結局、究極のリスクって死ぬことなんですよ。

白木 ああ、そうですね。本当、そのとおりです。

 人生うまくいった、いかなかった、なんてプライドの問題でしかない。究極のリスクではないわけです。だから、「これが失敗しても、死なないし」という言葉も僕のおまじないのひとつです。「もし事業がつぶれてしまっても、死なないから」と。そのときはまた頑張ればいいんですよね。

白木 そうですよね。私も、かつてバックパッカーとして世界中を旅してから、「大丈夫、死なないから」という気持ちは強く持つようになりました。人間、劣悪な環境でも生きていけるんだって。それに、バックパッカーは最小限の荷物、最低限のお金を持って旅をしていくのですが、その経験から「持たない生活」もできるんだ、ということが分かったんです。

南 なるほど、「持たない生活」ですか。

白木 今の日本は豊かですから、ついつい持ちすぎてしまうんですよね。でも、そういう旅を経験していると、「自分は持たない生活にも適応できる」という確信を持てる。モノを持たないことを怖れなくなったんです。

 だからこそ、一回いろいろなものを失ってしまってもまた復活しようって思えるのですね。

(続きは5/27公開です!)


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