中国 2014年5月28日

日本人は中国に対して、あまりにもネガティブに
なりすぎているのではないだろうか

1974年、鹿児島県生まれ。邱永漢氏に師事し、2005年より、チャイニーズドリームを夢見て北京で製パン業を営む荒木氏。2013年に仲間とともにスタートさせたラーメン居酒屋は連日の大盛況で、早くも3号店に。デパ地下で販売する1個500円のプリンも大人気という。中国にはまだまだチャンスが眠っている。感情に流されず、冷静にベストな判断を!

 5月13日午前11時55分、上海で開催されるベーカリー関係の展覧会に出席するため、北京から“中国版新幹線” 高鉄に乗り込んだ。読書をしたり考えごとをしたり、約5時間の特別な時間を楽しむなか、ふと思ったことがありこのコラムを書くことにした。

いちど冷静になって中国について考えてみたらどうだろう

 2012年夏に激しくなった尖閣諸島の問題を発端に、日中政府間の関係が急速に冷え込んだ。その影響は政治だけに留まらず、民間交流や企業間取引にも深刻な影響を与え、現在まで関係改善の予兆もないまま2年が経過しようとしている。

 その間、新たにシャドーバンキングや地方政府の巨額債務の問題、無計画な開発によるゴーストタウンや、経済発展に伴う環境破壊など、数多くの問題が日本のメディアを賑わせた。日々のニュースを眺めていると、日本人の深層心理にある中国に対するライバル心や、近年の急成長に対する嫉妬心・恐怖心を垣間みることができる。

 マスメディアはこぞって日本企業の中国撤退や、「チャイナプラスワン」で東南アジアに向かう投資の流れを取り上げているが、少々感情的になり過ぎてはいないだろうか。本来情報というのは、客観性と正確さがいちばん大事なはずだ。感情をもった人間である以上、多少のバイアスは仕方がないと思うが、最近はちょっと度を超しているように感じるのだ。

 普段の人づきあいや商売も同じだが、結局は感情的になった側が損をする。パチンコや競馬などはもっとも分かりやすい例だろう。負けが込んで感情的になると、正常な判断ができなくなってさらに負けが込む。

 ここでいちど冷静になって考えてみたらどうだろうか。

 たしかに中国には問題が山積だ。負の面だけみれば、救いようのない未来しか想像できない。しかし第三者の立場で客観的に中国を見ると、必ずしもそうはならないはずだ。

 日本も中国に負けず劣らず、数多くの問題がある。とくに目をそらしてはいけないのは、2005年からすでに始まっている人口の減少と、1000兆円を超えていまなお増え続けている国の借金だ。

 何が言いたいかというと、日本も中国も結局はどっちもどっちで、それぞれ深刻な問題を抱えているが、その問題に直面するのは明日ではなく、すくなくとも未来の話だということだ。

著者が2013年に北京で仲間とともにオープンしたラーメン居酒屋「鐡」は連日の大盛況!【撮影/荒木尊史】

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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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