「これだけは譲れない」という基準が必要

 商品やサービスを提供する側に不手際があった場合、その補償についてはお客様の言い分を聞きながら、社内規定などに則って対処するのが通常の手順です。しかし、なかにはどこまで補償すればいいのか、判断に迷うケースがあります。

 この事例は最近、美容室で頻繁に起きているトラブルで、経営者の悩みの種になっています。

 ここで医師が説明しているように、美容室がカラーリングの薬液を使用する際には、事前にパッチテストをすることになっていますが、現実にはお客様に対して「今日はパッチテストだけにしておきましょう」とは言いづらいものです。

 そもそも、市販の薬液についても、使用説明書ではパッチテストの必要性が謳われていますが、それを十分理解している一般消費者はほとんどいません。

 しかし、ひとたび問題が起きれば、美容室の責任は免れません。美容室側としては、「ウチだけじゃない」というのが本音かもしれませんが、言い訳は通用しないのです。

 では、どうすればいいのでしょうか?

 いうまでもなく、お客様に誠意をもって対応しなければなりませんが、問題は補償の範囲です。この事例の場合、治療費を負担するのは当然ですが、休業補償や慰謝料について、どのように判断するかは難しいところです。

 こうしたクレームに対しては、実際にはケースバイケースで対応することになりますが、その際の「指針」はあらかじめ固めておかなければいけません。

 車の運転にたとえれば、ハンドルに「遊び」は必要ですが、右折するか左折するかのハンドル操作を誤ってはならないのです。

 具体的には、3つのポイントを押さえておきましょう。