株式レポート
5月30日 18時0分
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6月相場における重要ポイント - 広木隆「ストラテジーレポート」

テクニカル・ポイントの確認
「日本株 底打ち宣言」から1週間。日経平均は昨日まで6連騰。さすがに週末月末の今日は連騰は途絶えたが下げ渋る動きを見せた。TOPIXは1ポイント未満とごく小幅であるが、一応7連騰である。

前回のレポート「日本株 底打ち宣言」で述べたテクニカル・ポイントを確認しよう。

①まずは心理的な節目である1万4500円の大台に終値で乗せることが重要となる。
⇒これはクリアした。

②1万4500円の大台には3月4月と今年に入っての戻り局面で2回とも上値を抑えられた75日移動平均が垂れ下がってきている。これを抜けるか3度目の挑戦になる。
⇒これもクリアした。

③さらに1万4500円台には一目均衡表の雲が横たわる。しかし厚い雲ではないので上に浮上するのはそれほど難しくはない。雲を抜けると次には1万4600円台にある200日移動平均がチャレンジになる。
⇒一旦は越えたものの、5月30日終値では再び割り込んだ。200日線を巡る攻防、というのが5月末時点の相場の位置である。

④週足の26週移動平均がある1万5000円手前まで、上値抵抗はない。
⇒前回はそう書いたが、ひとつ追加すると1万4815円が昨年末高値から4月11日安値までの下げ幅に対するフィボナッチ・リトレースメント38.2%戻しの水準だ。そこをクリアして初めて1万5000円台が見えてくる。半値戻しが1万5102円。前回、4月上旬の戻り高値の水準である。

上記下げ幅に対するフィボナッチ・リトレースメント61.8%戻しの水準が1万5390円。6月の上値はそのあたりと想定する。

リスク要因
来週から名実ともに6月相場入り。6月は日経平均1万5000円台を固める動きと予想するが、来週には早くも大きなリスクイベントがある。通常、月初のイベントといえば米国の雇用統計だが、今回は6月5日に開催されるECB理事会のほうがより警戒される。

ドラギ総裁の前回会合後の記者会見での発言以降、市場ではECBの利下げ観測が高まっている。それがユーロ高の是正、世界的な金利低下を招き、最終的には円高圧力が強まる結果となってきた。

僕は、ECBが利下げを決定しても、それで材料出尽くしになってユーロが買われ、米国金利が上昇してドルも買われ、結果として円が安くなるポジティブな展開をメインシナリオにしている。しかし、メインシナリオ、サブシナリオ、確率としてはほぼ半々に等しい(ので、メインもサブもない―正直わからない、ということだ)。

サブシナリオは何か。前回のECB理事会は何もアクションをとらずに、次回会合でアクションを起こす用意がある、と述べただけでユーロは対ドルで1.4に迫るところから1.36まで下がった。ドラギ総裁は口先だけでユーロ高を是正できたのである。よってこれに味をしめて同じことをしそうなのが怖い。つまり含みを持たせることが考えられる。小幅に利下げをしてもこれで終わりではない、まだこの先があると思わせぶりなコメントをする可能性がある。追加緩和の大玉、すなわちユーロ版QE(量的緩和)を示唆するようなコメントをすると、この世界的な金利低下とそれに起因する円高に拍車がかかるリスクがある。

成長戦略
期待外れに終わる可能性が高いと思われる。それでも「成長戦略に期待」という市場の総意に支えられて、成長戦略がまとまる下旬まで市場は底堅く推移するだろう。但し、発表されたら逆に「材料出尽くし」となるのではないか。

理由1. 誰もが「成長戦略に期待」と声をそろえていうが、その「期待」の高さと「実体」が見合うものなのかが不明。期待の高さに沿うような内容が伴うものであるなら、今の段階でもっと株が買われてもよいはずだ。

理由2. サプライズがないだろうから。産業競争力会議など、オープンな場で議論をしてきたわけである(当たり前だ。成長戦略が「密室」で議論されてきたとすれば、それこそ危ない)から今さら目新しいものが出てくるはずがない。「こんな隠し玉がありました」となればかえって不信感が出る。
理由3. 即効性のある話ではないから。そもそも「成長戦略に期待」というが何がどうなることを期待しているのだろうか。成長戦略がまとまったからといって、すぐに景気が良くなるとか、市場に何兆円ものおカネがばらまかれるとかという話ではない。日本の潜在成長率を長期的に高めていくための規制緩和、その主だったメニューが示されるだけだ。言うなればそれは、「日本は変わります」ということの決意表明であって、シンボリックな意味しかない。一種のデモンストレーションだが、そのデモンストレーションを内外に向けて上手にパフォーマンスできるかどうかということである。

労働市場改革
成長戦略をとりまとめる意義は内外に向けたデモンストレーションだと述べた。シンボリックな意味合いが強いなら「岩盤規制」の象徴にどこまで踏み込んだものになるかが焦点。医療や農業が代表例だが、株式市場に直結するのは企業の業績に影響が大きいものである。

法人税減税がすぐに思いつくが、そもそも3割の企業しか法人税を払っていないし、いろいろな税控除があり、実質的な効果は限定的だ(そもそもトヨタでさえやっと前期から法人税を納めるようになった)。無論、下げないよりは下げたほうがいいには決まっている。

それよりも重要な課題は労働市場改革である。昨日の日経新聞は1面トップで労働時間の規制緩和を報じた。いわゆる「ホワイトカラー・エグゼンプション」である。仮にこうした方針が進むとしても、ここまで対象が限定されるならば効果のほどは疑わしい。

実は、この1面トップ記事の陰に隠れて、小さい扱いだが、見過ごせないニュースがあった。

解雇の金銭解決見送り、厚労省方針、規制緩和踏み込めず
「厚生労働省は28日の産業競争力会議で、労働紛争を金銭で解決する新制度の導入について見送る方針を示した。他の先進国では解雇が無効だとする判決が出たあとに、職場に戻る代わりに金銭を受け取って退職する仕組みがある。厚労省は諸外国の制度を調査すると述べるにとどめた。労働分野の議論は28日で一段落したが、解雇規制の緩和には踏み込めなかった」

この議論には規制緩和に慎重な意見が目立つ。カネを払えば従業員をクビにしていいのか、といった感情論や、雇用が規制で守られているのは大企業だけで、中小はどんどんクビ切られている、といった論調である。

全体論はさておき、まずは株式市場の見地から言えば、大企業、上場企業のルールが重要である。

この「解雇の金銭解決見送り」というニュース、扱いは小さいが株式市場にとっては大きなテーマだと思う。つまり、企業が柔軟に人員削減ができないということは、大胆な事業改革が進められないということである。不採算分野を温存する原因になる。つまりは企業全体の利益率が高まらない。日本企業の利益率が欧米企業のそれに見劣りする原因のひとつが日本の労働市場の硬直性にあるというのは周知の事実だろう。この分野に大胆に踏み込んでこそ、「成長戦略」が投資家から評価されるものになるはずだ。

いまからこの調子では先が思いやられるというものである。

注目銘柄
このまま終わっては暗いので明るい話題を。

JR東海(9022)
10連騰。これだけきれいに並んだ陽線は滅多にお目にかかれない。このチャートをみるだけでも勇気が出る。最高益の超優良銘柄がPER10倍台で放置。割安の修正が進むはずである。同様のロジックはトヨタ(7203)、ブリヂストン(5801)にも当てはまる。



三井不(8801)
3000億円のファイナンスのニュースで急落も、その後2連騰。最大12%の希薄化の可能性があっても当日に4.7%安で済んでいる。チャートの形はソーサー(受け皿型)でじわりと底入れ、逆三尊のように見えなくもない。成長投資を評価する良い流れの象徴だろう。



あとはミクシィ(2121)か。流動性リスクを忘れずに、とだけ申し上げておく(詳しくはこちらのレポートご参照)。


(チーフ・ストラテジスト 広木 隆)

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(マネックス証券)


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