アラブ 2014年6月16日

教えて! 尚子先生
エジプトはなぜ混乱しているのですか?<後編> 【中東・イスラム初級講座・第7回】

チュニジア、エジプト、リビアと革命が続く中東。今でも毎日のように、テロや紛争のニュースが絶えません。なぜ中東では革命や政変がこんなに起こるのでしょうか。「アラブの春」に成功したかに見えたエジプトが、今なお混乱の最中にあるのはなぜなのか。今回はムスリム同胞団の動きを中心に、中東研究家の尚子先生がわかりやすく説明します。

前回紹介したように、アラブの抵抗運動の際に重要な役割を果たしていたのは、モスク(イスラム教の寺院)のネットワークをいかした、ムスリム同胞団に代表されるイスラム系の活動団体でした。

 ムスリム同胞団は1928年、イギリスの植民地下にあったエジプトで、植民地からの独立とイスラム文化の復興を目指して、ハサン・アル・バンナーによって結成されました。現在では、政治的活動から教育、医療、福祉分野を中心に広く社会奉仕活動をしています。国家が福祉サービスを提供できないような貧困層をも支援しているために、農村部や都市の貧困層や中間層からの支持が集まっているといわれています。

 ムスリム同胞団に政党活動が認められるようになったのは、2011年の今回の革命以降で、それまでは非合法とされていました。設立当初、同胞団はナセル(首相及び大統領在任期間:1954~1970年)と協力して、植民地政府に対抗し、独立を標榜して政治的活動を行ないました。けれども、革命成功後、イスラム主義を掲げるムスリム同胞団は、共産主義を標榜していたナセルと袂を分かち、ナセルの暗殺を計画したために、徹底的に弾圧されます。

 次のサダト政権(1970~1981年)で、関係は改善されたものの、同胞団の政治的活動は非合法とされたままでした。そのため、ムスリム同胞団系の政治家は、選挙の際には「無所属」として立候補を余儀なくされていました。それでも2005年の選挙では、無所属のイスラム系議員が議会の約20%を占めるほどの勢力となっていました。

観光客で賑わうエジプト・ルクソールのカルナック神殿。2010年12月撮影。(Photo:©Alt Invest Com)

橘玲の書籍&メルマガのご紹介
世の中(世界)はどんな仕組みで動いているのだろう。そのなかで私たちは、どのように自分や家族の人生を設計(デザイン)していけばいいのだろうか。
経済、社会から国際問題、自己啓発まで、様々な視点から「いまをいかに生きるか」を考えていきます。質問も随時受け付けます。
「世の中の仕組みと人生のデザイン」 詳しくは
こちら!
橘 玲の『世の中の仕組みと人生のデザイン』 『橘玲の中国私論』好評発売中!

バックナンバー

»関連記事一覧を見る

海外投資必勝マニュアル&本

海外投資のノウハウが凝縮! ここで紹介しているコンテンツ、書籍はすべて、ネットから購入が可能です。さらに「海外投資実践マニュアル」は「海外投資を楽しむ会」の会員になれば割引価格で購入可能です。

作家・橘玲がメルマガ配信を開始!
橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
橘玲×ZAiONLINE海外投資の歩き方
作家・橘玲がメルマガ配信を開始!
subcolumn下影

ページのトップに戻る

本WEBサイトに掲載している全ての記事およびデータについて、その情報源の正確性・確実性・適時性を保証したものではありません。本サイトの提供情報を利用することで被った被害について、当社および情報提供元は一切の責任を負いませ ん。万一、本サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社および情報提供元は一切責任を負いません。本サイトからアクセス可能な、第三者が運営するサイトのアドレスおよび掲載内容の正確性についても保証するものではなく、このような第三者サイトの利用による損害について、当社は一切責任を負いません。また、併せて下段の「プライバシーポリシー・著作権」もご確認ください。