先例として、外国人のキャピタルゲイン課税(注)をゼロにしたロンドンがある。昔から欧米や中東、アジアなどから投資マネーが流入する世界金融の中心地だが、その礎はこうした税制により築かれたのである。

 日本も同様に「キャピタルゲイン課税ゼロ」をうたえば、アジアの富裕層マネーがどっと不動産市場に流れ込むことだろう。

 そうして金が回る前提をつくったうえで、地方に移住する若者には「住宅補助」「水道光熱費ゼロ」などを優遇する。資金を確保してから、じっくり人口減少問題対策にかかるわけだ。

(注)株式や土地など資産を売却することで得た所得に対する課税

総量コントロールで
中古住宅誘導を

 不動産投資を、年金不足など将来を支える原資として勧めているのはイギリスだけではない。アメリカでは主たる自宅に加えて2軒目についても、全期間、住宅ローン控除が認められる。「2軒目の住宅を」というインセンティブだ。

 これに対し、日本ではもちろん1軒だけで、控除額は年間最高で50万円まで。しかも所得が3000万円以上の人は認められない。金持ちこそどんどん買えばいいと思うのだが、その辺の政策が何とも中途半端だ。

 思うに日本の住宅政策は、戦後の絶対的な住宅不足のころの発想を、いまだに引きずっている。すでに住宅が余り、空き家問題が深刻化しているのだから、政治家が頭を切り替え、いまこそ、新たに政策誘導していくべきだ。いつまでも官僚に頼っていては駄目なのだ。

 米国では市場に流通する住宅のうち、中古が8割、新築が2割。これは総量コントロールをかけ、新築を建て過ぎないよう注意しているからだ。空き家問題を抱える日本は、なぜ同様に総量コントロールをしないのか。日本もそろそろ真剣に行動すべき正念場に来ていると思う。

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