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憧れの街に住む! 東京・神奈川編

リバーフロントにある隠れた一等地「日本橋・浜町公園」

並木浩一 [ダイヤモンド社 編集委員]
【第25回】 2008年4月4日
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日本橋地区の「貴重な緑」地元の人間が「大川」と呼ぶ隅田川べりにある浜町公園。頭に旧区名を冠した日本橋二十町の西端、日本橋浜町に、約13000坪の敷地を広げる大規模な公園。野球のグランドや体育館もある。細い路地に建て込んだ商家や仕舞屋、といった一般的な下町のイメージからすると、実に贅沢な土地の使い方ではある。実際この公園には中央区に残った貴重な緑がある。そして、この公園の存在ゆえに、周辺の町に日本橋一帯では得難いアメニティを享受しているのである。

大人から子供まで
都心にある憩いの場所

 正面の入り口から園内に足を踏み入れると、中心には芝生の小山があり、そのまわりには小川の流れを配した広場がある。これはいわゆる親水広場のはしりである。隅田川沿いのほとんどがカミナリ堤防になってからは、近所の子供が素足でばちゃばちゃと水に触れられる数少ない遊び場だったのだ。

 広場をめぐる散歩道はうっそうとした木立の中を四方に伸びていく。左は野球とサッカーを兼ねたグランドに、正面は高速道路を屋根に大川を望む土手に、右はブランコなどの遊具がある児童公園エリアに。この散歩道はサイクリングロードも兼ねている。ということは、乳母車でも散策できるということだ。埋立地のフラットな公園で、高低差がない。

 訪れる人々はそれぞれに浜町公園を楽しんでいる。

 小さな子供たちは児童公園で戯れ、近所の御隠居であろうお年寄りたちは広場のベンチに腰をおろす。犬を散歩させる人、水に入って魚を追いかける子供…。公園の敷地の一角にある清正公堂に三社札を納める若い衆も、ときには姿を見せるに違いない。昼すぎのひととき、公園は腹ごなしの散歩をする勤め人たちが休む場所でもある。

 そばの名店「浜町薮そば」からもすぐである。今は建て替えの最中にある明治座が再開されたら、芝居がはねた後の余韻をさますそぞろ歩きの人々も、また顔を見せるだろう。手足を思いっきり伸ばせるスペースの余裕がある場所はこの付近では本当に珍しいのである。浜町公園には、そのゆとりを求めて足が向いてくる。

静寂の中にも
人間の生活が息づく下町

 緩やかに仕切られたエリア浜町公園の存在は、実のところ地元以外ではそう知名度も高くない。下町ブームがいわれ、人形町の老舗にOLたちが群れる今にあっても、この状況は変わっていない。

 浜町と人形町は隣町でありながら、南北に延びる緑道公園で仕切られている。南側の隣町、日本橋蠣殻町や日本橋中州とは高速道路、東日本橋とは一方通行の道路が境界線になる。偶然でしかないのだろうが、やや他所者には入り込みにくい構造になっているのだ。幸か不幸か、それがために浜町の下町なりの静寂は保たれている。

 とはいえ、そのエリアのなかでは人間の生活が息づいている。一見、商店や事務所で占められているかに見える街並も、夜のゴーストタウンを意味してはいない。商店の、あるいは事務所の2階から上には、ちゃんと人が住んでいる。東京の、もっとも古くから街であった場所なりに、限られたスペースに住む工夫をこらしているのである。都心区にありながら銀座のように「生活」をスポイルさせてはいないようだ。

 そして、エリアの中には更に、伊万里と鍋島の磁器を展示する栗田美術館、「浜町スタジオ」の名で知られている東京テレビセンター。緩やかな仕切りの内部は文化の発信地としても、知る人ぞ知る存在である。

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並木浩一 [ダイヤモンド社 編集委員]

1961年生まれ。青山学院大学フランス文学科卒、放送大学大学院修了、修士(学術)。編集者・執筆者として長年資格取得のテーマを手がけ、関連の著書に「最新 資格の抜け道」、共著に「『資格の達人」「税理士試験免除マニュアル」(いずれもダイヤモンド社刊)がある。


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