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LUSH社が「残酷なフカヒレ漁反対キャンペーン」
サメの漁獲高日本一の気仙沼遠洋漁協は猛反発

降旗 学 [ノンフィクションライター]
【第76回】 2014年6月6日
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 先週末から、日本代表が出場したW杯の試合をNHKが深夜に再放送している。

 試合経過も結果もだいたい覚えているのに、ついつい見てしまう。おかげですっかり昼夜逆転してしまった。

 午前四時ごろ、家内が起きてきて、トイレかなと思ったら、私の叫び声がうるさいと怒られてしまった。なに見てるの? W杯の再放送だ。え~、いつの? これは日韓共同開催のときの試合。再放送なのにどうしてそんな大声あげるわけ? すまん、チャンスになるとつい声が出てしまうんだな。ばっかじゃないの、再放送なのに。

 明け方にこんな会話があったのだが、再放送では故松田直樹選手がディフェンダーとして出場しているんだよね。彼の身体を張ったプレーを見ていると、思わず涙が出てしまう。夜更かししてテレビをご覧になった方もそうでしょう。直樹、やれよ、やっちゃえよって叫んじゃいますよね。サッカー好きにしかわからない話でした。

 というわけで、珍しく前フリを短くしたところで、ラッシュジャパンである。

 この会社は、「LUSH」ブランドで化粧品や入浴剤を販売しているのだが、「残酷なフカヒレ漁反対キャンペーン」なる活動を先月末から展開している。

 「生きたままヒレだけを切り取り、魚体を海に捨てるフィニングという漁の残酷さを指摘するため」

 ラッシュ社は、今回のキャンペーン理由をこう説明した。

 これに、サメ漁獲高が日本一の気仙沼市・気仙沼遠洋漁協が異を唱えた。この漁協は、今年四月、イギリスに本部を置く海洋管理協議会に国際認証を取得するために申請したばかりなのである。

 ちょっと難しいので説明すると、国際認証というのは、環境に配慮した漁業と認められることを言う。早い話が、乱獲による絶滅の危機がなく、その漁場では持続的な漁ができるという免状だ。気仙沼でヨシキリザメというサメが穫れるが、このサメは絶滅危惧種リストでも低リスクに分類されているのだ。

 だから、キャンペーンに異を唱える。

 また、東日本大震災で被害を受けた気仙沼では、サメを使った製品を、復興の起爆剤と考えていた。キャンペーンはそのさなかに起きたのである。漁協では、今回のキャンペーンが、サメ漁に対する根拠のないマイナスイメージを広げるのではないかと懸念している。

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降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


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