損得を超えた価値観を持つことがスタート

河合 高橋さんは、そういう若い人たちにどういうアドバイスをしているんですか?

高橋 1年生から、損得ではない価値を持つように伝えています。慶應あたりでもそうですが、クラブや部活に入っている学生のなかには「苦しいだけで、おもしろくない」と言っている子もいますよ。「どうしてそこを選んだの?」と聞いたら、「就活で有利だって言われたから」って。1年生のときから、アルバイトからクラブ活動まで、就活のときにどういうストーリーをつくるかを考えながらやっている子が増えてきていますよね

河合 増えていますね。それは、親の影響なんですかね?子どもの将来が不安だから。

高橋 親の影響は、どちらかというと公務員志向、大企業志向のほうが強いと思います。無難なところに行きなさいと。もう一つ、いまの若者の間には地元志向がありますね。本当のトップクラスは別として、真ん中ぐらいのボリュームゾーンにいる大学生は地元志向が強まっていると思います。それは親の影響、とくに母親の影響がすごく強いと思う。子どもが一人しかいないから、手放したくないと思っている。

河合 でも、それは悪いことばかりではないと思いませんか?いままで東京だけが人材を吸い寄せていたところがありましたし、地方の活性化は必要だと思います。

高橋 それはありますね。ただ「なぜ、地元のこの会社か?」と聞かれても、「親に言われたから」しか出てこない。それはそれで問題だなという感じもあります。もう少し自分で考えたらと思う。

 人生は思ったようにはつくれないんだから、社会に出て、自分の人生やキャリアを築いていくためにどういう能力が必要かを考えなさい、ということを言っています。そういうものを身につけなさいとね。

次回更新は6月27日(金)を予定。


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