急増する財政赤字と為替

 世界経済が危機を脱するとの期待が浮上した春先から、株式や商品などリスク資産のラリーが起こった。為替市場では資源輸出国、新興国、債務国などのリスク通貨が軒並み急伸し、ドルが全面安となった。

 しかし経済の回復は当面低空軌道をたどり、大幅マイナスの需給ギャップが2010年でも残るだろう。リスク資産相場はすでにこの緩慢な回復を織り込んだ。

 需給の制約を超えた価格上昇は需要を抑制し、リスクラリー自体を押しつぶす。確かに原油価格が70ドル台まで上昇すると、米国でガソリン消費量が減少するようだ。

 経済の改善傾向は続く一方、先行して上昇したリスク資産相場の上値余地は限られるなら、ラリーは一服し、市場はファンダメンタルズの再評価に向かうだろう。