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新聞・週刊誌「三面記事」を読み解く

日本には1万人の元気な100歳がいる

降旗 学 [ノンフィクションライター]
【第77回】 2014年6月13日
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 今年三月、予算委員会の質問に立ったアントニオ猪木議員の第一声は「元気ですかーッ」だった。

 「元気があれば何でもできる。元気があれば質問もできるということで……、猪木の常識、非常識で通ってます」

 猪木の常識、非常識と声高に叫ぶあたりはなかなかの傾奇者だが、今回の分裂では石原慎太郎さんのほうについたみたいですね。一年くらい前、ひょっとすると五年以内に維新の会とみんなの党は消滅しているかも。

 みたいなことを書いたのだけど、もしかしたら当たっちゃうかも。

 という話は措いといて、アントニオ議員の「元気があれば何でもできる」発言はごもっとも、と思っていたのだが、予算委員長に、心臓が悪い人もいるから今後はやらないように、と窘められた。

 さらに遡れば一九八八年冬……、私は駆け出し記者だったからものすごくよく覚えているのだけど、昭和天皇がご病気で入院なさり、日本中が自粛ムードに入った。覚えている方も多いでしょう、あのとき、あなたはおいくつでしたか。

 わかりやすいところで言えば、週刊誌はグラビアページにヌードを載せなかった。セミヌードもなかったんじゃないだろうか。テレビ各局はバラエティやクイズ番組の放送を見あわせ、当時、井上陽水さんが出演された自動車のCMでは、みなさんお元気ですか、の台詞が消された。陛下がお元気ではなかったからである。

 数年前、編集長に就任した古い知りあいとささやかな就任祝いをやった。三軒目のバーに行ったとき、それまで弾けていた友人は、突然に浮かない顔をした。

 「どうしたんだ、シケた面して。今日は全部私のおごりだぞ、このおごりは高くつくぞ。さあ、パーッとやれよ」
 「そうなんだがなあ……、思い出しちまってさ、社長に呼び出されたこと」
 「おぉ、あの社長に。自慢じゃないが、私も社長とご一緒したことがあるんだよ」
 「たまたまエレベーターで一緒になっただけだろう」

 友人には、売り上げの落ちた部数の復活が命題として課せられたのだそうだ。

 「わかるわかる。きみんとこの雑誌、激減だもんね、売り上げ」
 「他人事みたいに言うなよ。これからも書いてもらうからな」

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降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


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三面記事は、社会の出来事を写し出す鏡のような空間であり、いつ私たちに起きてもおかしくはない事件、問題が取り上げられる。煩瑣なトピックとゴシップで紙面が埋まったことから、かつては格下に扱われていた三面記事も、いまでは社会面と呼ばれ、総合面にはない切り口で綴られるようになった。私たちの日常に近い三面記事を読み解くことで、私たちの生活と未来を考える。

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