長谷川 話を戻しますが、学校に行かず成績が下がって、ご両親から特に何か言われませんでしたか?

藤田 親は諦めてました。そんなに厳しい教育方針ではなかったですし、過度な期待を感じたことはないですね。成績もめちゃくちゃ悪かったですし、この大学に行ってほしいみたいなことは言われたことがないです。

自分自身で選択した
起業家という道

長谷川 職業について考えたのはいつごろですか。

藤田 起業家になりたいと考えたのは高校生の終わりでした。高校のときはミュージシャンになりたかったのですが、現実味がないことをうすうす自分でもわかっていました。高校三年生の夏、現実を目の当たりにせざるを得ない時期が来てあきらめました。そこで悔し紛れで選んだのが、大学を出て起業家になるという道でした。当時、大学の延長線上にある職業は経営者しか思いつかなかったのです。

 華やかな職業に就きたいという気持ちもどこかにあったと思います。私が住んでいる街があまりにも地味で田舎町だったので。

長谷川 華やかな職業というのは、どこで見つけるのでしょうか。

藤田 テレビですね。あと父親が固い仕事をしていて、あまりにも地味だったのを子どもの頃に目の当たりにしていたので、そういう生き方はしたくないという想いもあったと思います。

 それまで全然学校に行っていなかったので、大学に入るために5ヵ月間集中して勉強しました。自分の人生を台無しにしないためにも、ある一定のレベル以上を確保しないとまずいんだ、いままでサボってきたから辻褄を合わせよう、という意識が強く働いていたと思います。