人、環境、企業経営すべてに優しい

 現在、ビッグアスファンは世界のおよそ125ヵ国で使用され、累計販売台数では10万台を突破(13年8月)している。

「13年から日本国内でも販売を始め、約50台のファンを導入しました。今年は300~400台の販売が目標です」

 同社では、07年以来、米拠点でもユーザーとしてビッグアスファンを導入、日本本社でも12年以降の設置・検証の結果、最大で約30%の省エネ貢献が確認できたという。

 ビッグアスファンのさらなる普及と省エネ性能等の検証に向け、13年末には福島県のレジャー施設「スパリゾートハワイアンズ」内のウォーターパーク(下左写真、約7000平方メートル)に3機のビッグアスファンを寄贈。同施設の協力を得つつ、共同実証実験を行ってきた。

 その結果、暖房使用期間については、天井部分とフロアで8度ほどあった温度差を解消し、利用者のいるフロアを快適にしながら、1ヵ月当たり最大で150万円のエネルギー削減効果が確認できた。現時点での予測では、年間約1000万円の省エネ効果が見込めるという。

「現場の声で最も印象的だったのは、施設内の暖房開始時刻が、従来は午前2~3時だったのが、ファン導入後は6~7時でよくなったという事実です。というのも、ウォーターパークでは室内を『年間を通して28度』と定めています。暖められた空気は施設内の上部に溜まり、人がいる高さまでなかなか暖気が降りてこない。それが3機のファンを備えたことで、上下の温度のムラが大きく解消したばかりか、オープン前の暖房に要する時間まで短縮できたのです」

体育館やスポーツ施設で、「熱中症対策」としても利用されている。

 これまでは、人がいない施設内の上部をいわばムダに暖めざるを得なかった。それが、ファンが生み出す強い対流によって、温度ムラを少なくし、結果として省エネだけでなく、省人力にも貢献したというわけだ。

「今後は、企業向けの省エネ提案だけでなく、夏に向けて、工場や学校の体育館などの「熱中症対策」機器としての普及を目指します。空調のあるなしに関わらず、日本中で起きている社会的課題の解決に貢献していきたい。同時に、国や自治体の補助金活用やリースの導入などもテーマになるでしょう」

 企業や公共施設の省エネは一巡し、限界に近いという声もあるが、まだまだ改善の余地がある。同社が扱うファンは、そのことを教えてくれている。

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