鳩山邦夫総務相の「出来レース」批判で始まり、オリックスグループへの売却の白紙撤回にまで発展した日本郵政の保養宿泊施設「かんぽの宿」の売却を巡る問題は、4月3日に総務省が日本郵政に対し業務改善命令を出したことで「一区切り」を迎えた(売却そのものは、まだまだこれからだ)。

 これを受けて、主要紙各紙は翌日4日の朝刊で「かんぽの宿」問題のここまでを総括したが、それぞれ扱いの大きさも、論調も異なった。大まかには、業務改善命令と合わせて総務省が公表した調査報告書の中で明確な法令違反が示されなかったので日本郵政に問題はなかったというトーンの新聞と、法令違反はなかったとしても経緯には問題があったという新聞とに分かれた。

 東京新聞は、4日の朝刊一面トップで取り上げた。写真が何とも印象的で、ご両人の体格にも起因するのだろうが、鳩山総務相が西川社長に業務改善命令を受け渡す場面が、いかにもお上が命令を下げ渡すという雰囲気で写っている。同紙は、「かんぽの宿 見えぬ将来 新たな譲渡先 難航必至」との大見出しと、「出来レースは認定できず」との小見出しを掲げ、どちらかといえば、日本郵政寄りの報道だ。「総務省は出来レースと認定したのか」という記者の質問に対して、「国民の立場からは出来レースと見える内容だ」という鳩山大臣のコメントを引用し、“トーンダウン気味”と伝えている。

 日経新聞も、不動産不況など諸々の状況を考えれば、そもそもオリックスグループに代わる新たな買い手が現れるか不透明であり、譲渡が成立するか問題だと、どちらかと言えば、日本郵政の側に同情的な記事だ(法律で定められた売却期限は2012年9月)。

 逆に、日本郵政に対して厳しかったのは、読売新聞だ。先述した調査報告に売却手続きの公平性や透明性の欠如など16項目にわたる問題点が並べられた事実を紹介し、日本郵政の施設は公的な財産であり、売却には透明性や公平性が求められるのに、今回の調査結果で、日本郵政側にそうした発想がなかったことが裏付けられた、とする識者のコメントを紹介している。