ミリタリーファンの間で、根強い人気を持つジャンルがある。軍用の携行保存食「ミリメシ」だ。自衛隊のミリメシは、世界的にも評価が高い。ここでは、本誌記者による「ミリメシ」の食レポート食レポート特別編(前半)をお届けする。

知られざる「ミリメシ」の味わい深い世界 <br />本誌記者が戦闘食を格付け(上)「週刊ダイヤモンド」6月21日号の特集は「自衛隊と軍事ビジネスの秘密」。特集記事の拡大版を特別公開します!

 日本が誇る装備は、兵器関連ばかりではない。「戦闘糧食」(レーション)、通称「ミリメシ」もその一つだ。戦闘時やそれを想定した演習時などに食べる、携行保存食である。

 日本のそれは、PKOで自衛隊がカンボジアに派遣された際、現地で開催された各国戦闘糧食の品評会で1位を獲得するなど、評価が高い。

 なお、自衛隊には戦場に配備される調理専用車両もあり、もちろん普段は調理された食事を食べる。戦闘糧食は、あくまで調理の余裕のないときのための非常食だ。

 戦闘糧食を納入している企業は複数あるが、そのうちの1社、東京都の武蔵富装(http://musashi-fusoh.com)に話を聞いた。同社は官公庁との取引が多い商社で、もともと自衛隊には戦闘服などの衣料やテントを納入していた。ちょうど食の分野にも乗り出そうとしていたときに、防衛省側から「(食事を)より良いものにしたいので、協力してほしい」という話があったのだという。これを受け、2004年に開発を開始してコンペに参加。08年に採用された。

 足掛け4年がかかったわけだが、戦闘糧食の開発には、“ならでは”の難しさがあった。