ミリタリーファンの間で、根強い人気を持つジャンルがある。軍用の携行保存食「ミリメシ」だ。自衛隊のミリメシは、世界的にも評価が高い。ここでは前半に続き、本誌記者による「ミリメシ」の食レポート特別編(後半)をお届けする。

知られざる「ミリメシ」の味わい深い世界 <br />本誌記者が戦闘食を格付け(下)「週刊ダイヤモンド」6月21日号の特集は「自衛隊と軍事ビジネスの秘密」。特集記事の拡大版を特別公開します!

 ミリメシを“食べてみたい”と考える人は多いが、自衛隊の戦闘糧食は「官給品」であるため、隊員が横流しはできない(過去にネットで売りさばいて処分されたケースもある)。

 支給されて余ったものを、個人的に無償で譲ることは黙認されているため、そうした経路で流れたものがミリタリーショップやネットオークションなどで売られているが、賞味期限切れだったりするので、その辺りは自己責任となる。

 だが、自衛隊に納入されているものとまったく同じ中身で、メーカーから「防災用保存食」として民間向けに販売されている場合があるのだ。

 確かに、自衛隊の求めるスペックは防災用として最適だ。武蔵富装でも、民間用に別途販売しており、自治体や企業などの備蓄用としてのニーズが大きいとか。興味のある人は、それらの商品を試してみるのも手だ。

 本編集部でも試食してみた。試食したのは、自衛隊の「戦闘糧食Ⅱ型」に相当する、武蔵富装の防災用保存食、「防災丸かじりセット」「防災あつあつセット」。中身は基本的に、自衛隊に納入されているものと全く同じである。

 試食要員は以下の通りである。

●副編集長Y:酒とつまみが主食。現在メタボでダイエット中。
●記者K:好物はカレー、ハンバーグ、コロッケ。味には敏感と主張。
●記者M:イタリア料理が好きだという自称グルメ。毒舌家。

知られざる「ミリメシ」の味わい深い世界 <br />本誌記者が戦闘食を格付け(下)戦闘糧食II型に相当する民生品(3年保存タイプ)。こちらは温めずにそのまま食べられるもので、自衛隊では「副食」として「主食」と組み合わせる

 まずは「防災丸かじりセット」。これは戦闘糧食Ⅱ型の中でも「副食」に当たるもので、自衛隊では後述の「主食」と組み合わせて取る。調理なしでそのまま食べられる。

「炭焼きチキンは、コンビニで売っている缶詰の焼き鳥みたい。結構好み。ウインナーはいま一つ。パサついていて、かつ脂っこくて、“駄目なサラミ”という感じ」。さすが酒好きの感想である。「肉はなぜかツナっぽい。マヨネーズが欲しくなる」。

「全般にジューシーさに欠け、塩気が強いが、保存食、非常食として考えればどれも立派。悪くない」。味の閾値(いきち)が低いだけではないのか。「特にパンは保存食と思えず、大変うまい」。このパンは、ふわふわでほんのり甘いオレンジ風味、副編のYも絶賛であった。