日本GEとの損失補償契約の終了に伴い、1750億円が舞い込んだ新生グループ。その資金を元手にM&Aを行い、消費者金融事業での新たな展開を期待する声がある。

「まだまだ、十分な成果を見るところまではいっていない」

 当麻茂樹・新生銀行社長は5月、中期経営計画の初年度に当たる2014年3月期の業績発表の場で、こう、はっきりと述べた。

 新生銀は09年3月期から2期連続で1400億円を超える最終赤字に陥ったものの、当麻体制の下で健全なリスクテイクを行うという「銀行として当たり前のことを当たり前にする」(当麻社長)経営を徹底。結果、かつて7%近くあった不良債権比率は今期、2%台まで低下する見込みで、身ぎれいに生まれ変わりつつある。

 中計ではこうした負の遺産の処理に加えて、ベンチャーへの積極的融資など、メガバンクでも地方銀行でもない、新生銀ならではのビジネスモデルを確立して継続的に成長できる体制づくりを目指しているはずだった。

 ところが、14年3月期の最終利益は413億円と、当初、中計で目標に掲げた480億円には手が届かなかったのである。

 新生フィナンシャルなど、コンシューマーファイナンス子会社3社の利息返還損失引当金の追加繰り入れが響いたこともあるが、トップラインの伸びも弱い。3メガバンクが貸し出しを単体ベースで前年同期比5.3~7.3%増やしているのに対し、新生銀は連結ベースでも0.6%増にとどまる。

 今期はこの閉塞感を打ち破るべく、貸出残高を4.3兆円から5兆円にまで増やすという強気な目標を打ち出した。そのうち、4200億円を法人融資に充てる予定だが、一方で今、新生銀には個人向け融資、特に消費者金融での新たな展開を期待する声も出てきている。