「ディグ効果」――。これは今や、ウェブ・デザイナーやサーバー管理者が会得すべき知識のひとつとして挙げられる常識だ。
 
 ソーシャル・ニュースサイトの先駆けとして知られるディグは、ユーザーが面白いと思ったインターネットのコンテンツを投稿し、他のユーザーがさらにその投稿が面白いかどうかを投票するという仕組みで成り立っている。得票が高くなればなるほどサイトの中で上位に表示され、それを見たユーザーが投稿されているコンテンツのリンクをクリックして、そのオリジナルのサイトを訪れるというわけだ。

 人気の投稿には5000~6000票集まることもあるため、一気に多数のユーザーが押し寄せたサイトはサーバーがダウンすることもままある。最近では、ナンシー・ペローシー米下院議長のサイトがその憂き目に遭った。

 ペローシー下院議長のサイトには、中絶施術を拒む医師を採用しない医療機関への政府補助金をカットするというブッシュ政権の健康保険施策案が掲載されており、ディグにこのリンクを投稿したユーザーは、その中絶の定義があまりに広義すぎるとコメントしていたのだ。

 ディグがスタートしたのは、2004年12月。テクノロジー・ニュース番組のホストとして人気のあったケビン・ローズ、いくつもの新興企業を立ち上げてきたシリアル・アントレプレナーのジェイ・エイデルソンら4人が、「ニュースを民主化する」ことを目的に考案したものだ。

 「これまでのテレビや新聞のニュースは、ドアの向こう側で編集者らがニュースを選んでいた。けれどもディグはユーザー自身がニュースを選ぶ」(エイデルソン)。つまり、ディグは既存のニュース・メディアに対抗する、まさにウェブ2.0的プラットフォームとして登場したわけだ。

 スタートして数ヵ月後、パリス・ヒルトンの携帯電話がハックされ、その番号と内蔵カメラで映した画像へのリンクがディグに投稿された。ディグと、投稿されたオリジナル・サイトに超多数のユーザーが殺到。これは、ディグが特ダネをどこよりも早く報じるメディアであることを見せつけた出来事だった。

 スタートした当初はテクノロジー関連のニュース投稿が中心だったが、今やそれを超えた幅広いユーザー層を獲得したことで、ディグはインターネットのメジャー・メディアになったとされている。アメリカのインターネット・トラフィックでは常に100位以内にランキングされ、ニュース・メディアサイトとしては30位前後を保持している。

 ユーザーが投稿するのは、ニュース・メディアだけでなく、個人のブログ、商品紹介、ビデオ画像、エンターテインメント関連の噂など、インターネット上のあらゆるコンテンツ。「これぞ」と思うものを選び、そこに自分のコメントをつけて投稿する。