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鉄鋼大同団結するも、ミタル買収の脅威は消えず

週刊ダイヤモンド編集部
2007年12月26日
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 12月19日、新日本製鉄と住友金属工業、神戸製鋼所の鉄鋼大手3社は、株式を追加取得して持ち合いの強化を発表した。

 すでに0.41~5.01%の持ち合いをしていた3社は2007年秋、住金が新設する同社の和歌山製鉄所で生産する鉄の半製品の共有化など関係の拡充を発表。同時に持ち合い強化を示唆していたので、今回も既定路線といえる。

 ただ、今回は新日鉄と住金とのあいだの相互出資額が1000億円にも達することが、関係者を驚かせた(神鋼は2社と150億円ずつ出資)。今回の出資で新日鉄の住金への出資比率は9.4%。「(出資比率が)10%を超えないように意識はした」(増田規一郎・新日鉄副社長)とは言うものの、新日鉄はグループの住友商事を抜いて住金の筆頭株主となる。新日鉄と住金はステンレス事業の統合など多岐にわたり濃厚な関係を築いていたが、株主順位からも踏み込んだ関係に突入する。

 鉄鋼業はグローバル競争が激化し効率化はもちろん、規模拡大が急務。猛スピードで買収を繰り返し、粗鋼生産量世界一になったアルセロール・ミタルからの買収の脅威は消えず、3社統合は避けられないと見る関係者は多い。

 もっとも、「基幹設備の相互利用など、さらなる提携強化をするため」と3社の首脳は口を揃え、「結果的に買収防衛になる」(増田副社長)と認めつつも、それ以上の思惑はないと説明。いかにも日本的な調和型で、激変逃避型のアライアンス進展は当分続きそうだ。

 発表の当日、3社の株価は新日鉄が前日比1円高、住金と神鋼に至っては同2円安。増田副社長は「(提携強化で)年間数百億円、少なくとも500億円以上の増益効果がある」と1000億円もの大金を投じる意義を説明したが、市場は無反応。日本的な持ち合い制度の意義や資本効率など、市場関係者には疑問を呈する声も多い。

 合計で2600億円もの資本が単なる「連携強化」に投じられている。今すぐの“大同団結”が無理だとしても、せめて大幅増益など、目に見える効果を出さない限り、「中途半端な買収防衛」との評価は避けられそうにない。
(『週刊ダイヤモンド』編集部 鈴木 豪)

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