株式レポート
6月23日 18時0分
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日本株 堅調さの背景 PART2 内と外 - 広木隆「ストラテジーレポート」

日本企業の変革

「日本株が堅調である。硬直的だった日本の資本市場が変わり始めたことの表れである」 PART1はそう結んだ。確かに、市場で取引される対象が - すなわち株式の発行体である企業が - それを取引しようとする主体 - すなわち投資家にとって、魅力あるものへ変わろうとするならば、それが相場上昇の要因でなくて何であろう。

マーケットで売り買いされる企業が、投資対象としてふさわしい存在に変わろうとしている。いわば市場内部の改善である。一方、外部環境も大きく変化している。

上述した市場内部の改善、具体的には上場企業が手元資金を活用し自社株買いや増配など株主還元に積極的になったり、ROE向上を意識したりし始めたのはアベノミクスの成果のひとつである。デフレからインフレへの環境変化が企業の背中を押したのだ。デフレ時代はキャッシュを貯め込んだままにしても、さしたる実害もなく、それゆえ株主からの批判もなかったが、インフレ時代になれば有効なキャッシュの使途を模索せざるを得ない。

デフレからインフレへの変化が日銀の金融政策だけによるものかは議論の余地があるだろう。しかし、量的質的金融緩和によって「実質金利マイナス」の世界を作り出しているのは日銀の政策によるものである。「実質金利マイナス」の環境が、企業の財務戦略に影響を及ぼしているとすれば、アベノミクス第1の矢は株式市場にとって良い効果をもたらしたと言えるだろう。

重要なことは「異次元緩和」で大量のマネーを供給し過剰流動性によって相場を押し上げたのではないということだ。一時的にその色彩が濃かったときもあるが、それも帳消しになるところまで相場は下げた。年初から半年近くに及んだ調整を経て、今再び上昇基調に戻りつつある。これは企業のファンダメンタルズの変化を好感したものであり、それに「実質金利マイナス」の環境が一役買ったということなのである。

新成長戦略

アベノミクス第3の矢である成長戦略もまた企業の変革を後押しするものである。社外取締役の選任を促す会社法の改正などコーポレートガバナンス強化、公的年金改革、日本版スチュワードシップコードの導入。これら一連の改革が企業にROEの重要性をより意識させたのは明白であろう。さらに言えば、法人税減税に踏み込んだのも、企業の最終利益をかさ上げするという点でROE向上に寄与する。成長戦略が目指すひとつのKPI(Key Performance Indicators:重要業績評価指標)は日本企業のROEにほかならない。

事実、産業競争力会議がまとめた「日本再興戦略の改定について」という資料、すなわち新成長戦略の素案にはこう謳われている。

<日本企業の「稼ぐ力」、すなわち中長期的な収益性・生産性を高め、その果実を広く国民(家計)に均てんするには何が必要か。まずは、コーポレートガバナンスの強化により、経営者のマインドを変革し、グローバル水準のROEの達成などを一つの目安に、グローバル競争に打ち勝つ攻めの経営判断を後押しする仕組みを強化していくことが重要である>

政府が成長戦略で企業の「稼ぐ力」を高めることを標榜し、その仕組みを整える。企業もそれに応えてアクションをとる。こうした官民一体となった日本企業のROE向上への姿勢が国内外の機関投資家に評価されないはずがない。それこそが日本株式市場が堅調地合いを取り戻した背景であると考える。
いよいよ新成長戦略が発表される。政府は明日24日にも経済財政運営の基本指針「骨太の方針」と新成長戦略を閣議決定すると報道されている。すでに素案が発表されており、市場にとっては織り込み済みであろう。

むしろ材料出尽くしで売られる可能性もある。怖いのは内容に新味がないと失望売りが出ることだ。昨年の6月5日に安倍首相が成長戦略を発表すると、市場は失望売りを強め、日経平均が518円安となった。この記憶が刷り込まれているだけに、短期筋がその記憶を利用しようと仕掛け的な売りを演出するかもしれないので警戒が必要だ。

短期筋の売り仕掛けに翻弄されないためには、われわれ市場関係者が成長戦略の意義を正しく伝えていくことが大切である。間違っても「今回まとまった新成長戦略はインパクトに欠け、株価上昇の起爆剤にならない」などというコメントをしてはいけない(このコメントは実際にメディアに流れていたコメントである)。

何度も繰り返し述べているが、成長戦略というものは、長期的に日本経済の基礎体力を改善しようというもので、いわば毎日おこなうラジオ体操、ストレッチ、筋トレ等の基礎トレーニングのメニューである。それを3カ月、半年、1年と継続しておこなって、ようやく効果が表れるというようなものである。「起爆剤」になんかなりようがないし、第一、市場を「起爆」させてどうする?

僕は、今回のいわゆる「アベノミクス相場」のスタート時から、ふたつの大きな要因が相場上昇のドライバーになると主張してきた。それは、

国内要因:アベノミクスによるデフレ脱却
海外要因:先進国主導のグローバル景気回復

である。

だから外部環境といった場合、さらにもう一つ大きなグローバルな投資環境面からの要因がある。先進国の景気が回復する。よって日本企業の業績が伸びる。さらに先進国の景気回復で投資の世界でいう「リスクオン」になりやすい。景気が悪化しているときより、回復しているときのほうが楽観ムードになりやすいという極めて単純な話だ。世界的な景気回復でリスクオンになり、それが為替の円安などを通じてさらに日本企業の業績を向上させる。

「日本株 堅調さの背景 PART3」ではグローバルな投資環境の面から考察してみたい。


(チーフ・ストラテジスト 広木 隆)

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(マネックス証券)


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