終盤に入ったJ1リーグで、まれにみる大混戦が展開されている。

 第27節を終え、残り7試合となった現時点(Jリーグとアジアチャンピオンズリーグの日程が重なったため6チームは残り8試合)で、上位は首位・名古屋から6位のFC東京までが「勝点4」差にひしめいている。

 J2降格の危機が背後に迫る下位の混戦はもっとすごい。ダントツの最下位・札幌は別として、9位の京都から17位の磐田まで「勝点6」差のなかにある。勝利チームには勝点3が与えられる勝点制の順位決定方式のため、優勝争いをする上位6チームと、J1残留がかかる下位9チームの順位が、たった2試合でガラっと変わる可能性もあるのだ。

15年間で3倍以上!
チーム数増加で戦力が分散

 なぜ、このような混戦になったのか――。さまざまな要素が考えられるが、大きいのはチーム数の増加だろう。

 Jリーグは1993年、10チームでスタートした。それが今ではJ1・18チーム、J2・15チームの計33チーム。15年間で3倍以上に増えた。チームが増えれば、多くの選手が必要になる。その結果、強豪チームは選手の質を維持するのが難しくなった。一方、弱小チームはトップ選手を獲得するなど強化に努める。戦力は分散され、チーム力も均衡化された。

 急激なチーム数の増加は、選手の質の低下を招き、日本サッカーのレベルアップを阻害するという声もある。多くのチームが、そこそこのレベルで収まっている現状を見ると、確かにその危惧はある。

 だが、リーグ戦は確実に面白くなった。これまで強さを誇ってきたチームでも、ちょっと歯車が狂うと下位に転落する。低迷していたチームでも勢いに乗れば、優勝争いに加わることができる。“意外性”の連続で目が離せないのだ。

 この意外性を象徴するのが、良い方では首位争いを続ける「名古屋グランパスエイト」と「大分トリニータ」、悪い方では降格ライン上で苦闘している「ジュビロ磐田」と「横浜F・マリノス」である。

首位の名古屋と2位の大分
共通項はカリスマ外国人監督

 首位の名古屋は93年のJリーグスタート時から参加していた伝統を持つチーム。だが、天皇杯は2度優勝しているもののリーグ戦を制したことはない。年間最高順位は96年の2位。いいところまで行くのだが、勝負どころで踏ん張れないというイメージがつきまとう。