ビッグデータがネットで
つながる社会の到来

進藤 美希
東京工科大学 メディア学部
准教授

青山学院大学大学院国際マネジメント研究科 博士後期課程修了。日本電信電話などを経て現職

 法制面の整備が進んでビッグデータの活用が進み、それと並行してテクノロジがさらに進化すれば、「人、商品、環境情報、場の雰囲気……など、この世にあるあらゆる物がデータリソースになり得る」と、進藤美希・東京工科大学メディア学部准教授は述べる。そのベースにあるのが「IoT(Internet of Things、物のインターネット)」という考え方だ。

 IoTは、あらゆる物をネットワークを介してつなぐという発想であり、つながった物を介して人の行動などに関するさまざまなビッグデータを集め、これを利用した新たなビジネスを生み出そうというもの。

 米調査会社IDCは昨年末、2020年のIoTの世界的市場規模を約8兆9000億ドルと予測した。こうした数字が示すように、ビッグデータの活用で、あらゆる業界、あらゆる分野での協業が加速することへの期待は大きい。

仮説・実行・検証・修正で
適正なビッグデータ戦略を

 進藤准教授は同時に、あらゆるリソースから得られたビッグデータであっても、仮説なしにデータを取得するだけでは、業務面での効果は薄いと警鐘を鳴らす。戦略に基づき、どのデータからどのような価値を見いだすのか、あらかじめ明確にする必要があるという。

「データ分析にそれまで企業が培った経験を掛け合わせて戦略上の仮説を立て、実行から検証、修正までのサイクルを回すことが重要です」

 このサイクルの中でさまざまな新しい事業の可能性を探ることが、自社に最適なビッグデータ活用戦略を見いだすプロセスでもあるのだ。