コンサルは、経営者に寄り添い議論できる
対等なパートナーであってほしい

並木 では最後に、吉岡さんにとってコンサルタントとはどのような存在ですか?

吉岡 「対等な立場にいるディスカッション・パートナー」という表現が当てはまる気がします。経営層になると、社内の人は基本的に部下ばかりですから、対等の立場で議論するのがなかなか難しい。同じ目線で問題を指摘してくれる存在というのは貴重ですよ。

並木 私も、クライアントとそういう良い関係を築けるコンサルタントでありたいと思います。

 人事異動によって、せっかくのプロジェクトが志半ばで途絶えてしまう。これはコンサルティング・ファームが「企業」を対象としてサービスを提供しているからであり、そこに既存のビジネスモデルのひとつの限界があると感じています。だからこそ、志ある「経営者」、変化を生もうとする「人」を支えるプロフェッショナルが今、求められているのだと思います。

普段から外部の知恵を活用する風土が<br />日本の企業にはますます必要になる「吉岡さんに以前聞いた話から「Step0」というコンセプトが閃いた」(並木さん)

 また、吉岡さんが欧州で体験されたように、長期にわたって関係を築くことで本質的な問いが明確に把握でき、正しい問いに取り組む機会を増やせるということ。単発のプロジェクトの連続では、瑣末な問いに答えを出すことだけに目を奪われ、リターンの少ない問題解決に終始する状況に陥りかねないことを、今日のお話で改めて感じました。

 以前、吉岡さんがこんな話をされたのをよく覚えています。

「コンサルティング・ファームを利用することは、私にとって“Step3”のオプションと考えている。新しい取り組みを始めようと思った時、まずStep1として、社内の優秀な人材を集める。でも社内のリソースが足りない場合は、Step2としてヘッドハンターに依頼して他社の経験者を採用する。それでもリソースの確保が困難な時や時間的制約がある時、Step3としてコンサルティング・ファームへの依頼を検討するんだ」

 私が“Step0”というコンセプトが閃いたのは、吉岡さんのそんな言葉を聞いた時でした。これからも経営者のStep0、つまり“どんなときでも最初に相談をされるような、常に寄り添う存在”となるべく、コンサルティングというサービスの改革に挑戦していきたいと思います。今日は本当にありがとうございました。