耐震性能プラスアルファで
快適な住まい

「81年以降に建てられたとはいえ、築20年前後の家に暮らす人たちも不安は多いことでしょう。老朽化や腐食などによって、元の耐震性能が著しく損なわれている可能性もあります。助成金などを受けられないので躊躇しがちですが、不安なら信頼できる業者に依頼し、耐震診断を受けてみた方がいいでしょう」

 耐震診断を受けるべきか否かの判断に関しては、日本建築防災協会が作成した「誰でもできるわが家の耐震診断」というリーフレットが目安の一つになるそうだ。簡単な設問に答えていくだけで判定でき、ネット上でも閲覧可能だ。

 20年もたてば、あちこちで老朽化が目に付き始め、リフォームを考える人も少なくないだろう。「床や壁のリフォームとセットで耐震化工事も行えば、費用も節約できます」と尾間氏はアドバイスする。

 リフォームを実施することになれば、具体的な工事内容は業者に任せるしかないが、今住む家の耐震性能は正確に把握しておきたい。そして信頼できる業者と正しく計画を立てることが必要だ。賢く立ち回ったつもりで、部分補強で済ませた場合、かえって全体の耐震性能が下がってしまうこともある。

 また、意外と見逃されがちなポイントもあるようだ。

「地震で怖いのは建物倒壊や家具転倒とともに、窓ガラスの破片の飛散。ケガの危険性だけでなく、ガラス破片が散らばっている所は避難経路にもできません。リフォームを機に、飛散防止ガラスに交換したり、飛散防止フィルムを貼り付けたりするのが効果的。また、備蓄品置き場も設計に組み込んでおくべきでしょう」

 せっかくまとまったお金を投じるのだから、耐震化以外のポイントでも完璧なリフォームを目指したいところだ。最後に、尾間氏はこう付け加える。

「リフォームでは、耐震、省エネ、換気といった三つのポイントにおいて性能向上を図ることが肝心。断熱性能に関する次世代省エネルギー基準に合わせれば、結果的に光熱費も節約できます。また、単にシックハウス対策のみならず、結露によるダニ・カビの発生を防ぎ、健康な生活のために換気も軽視できません」