なぜ、「偏差値50の文章」はゴミ箱行きになってしまうのか?

 インターネットが一般に普及して約20年。
 世の中に流れる情報は年々飛躍的に増えてきている。よほど意識的に遮断しないと、頭の中に膨大な情報がどんどん進入してくるのだ。

 そんな中、人はその情報が必要かどうかを判断するスピードを早めている。ある意味、みんなこらえ性がなくなっている。

 あなたも経験があるはずだ。

 録画したテレビ番組を倍速で見る。テレビCMはスキップする。WEBで気になった記事を読もうと思っても、表示が遅いからとイライラして途中でやめてしまう……。

 同じような状況が、ビジネスでもあらゆる場面で起こっている。

 自分にとって必要な情報かどうかを1秒で判断して、必要ないと判断したものはあっという間にスルーされてしまうのだ。

 筆者は元々広告代理店に勤めていた。今でも広告代理店の営業の方と一緒に仕事をすることがあるという。

 自分が関わる案件の打ち合わせが終わり、彼ら(広告代理店の営業)が、得意先に何か別の企画を提案する場面に同席して、隣で観察しているという状況も時々ある。そんな時、彼らが何時間もかけて作ったであろう分厚い「企画提案書」が得意先の誰にも真剣に読まれていないことに愕然とするらしい。

 先日もこんな場面に遭遇したという。

 広告代理店の営業が得意先に企画を説明している最中のこと。得意先のある人は、全体をパラパラと最後までめくるとスマホをいじりはじめる。

 また、ある人は、一応話にあわせてページをめくっているが、ずっとノートパソコンに何か打ち込んでいる。画面は見えないが、目線の動きからおそらくこの案件に関したことではなく、別の仕事をしているようだった。

 その時の企画提案書が決して中身がなかった訳ではない。

 では、何が問題だったのか?
退屈で、弱かったのだ。
 何がか?
タイトルや見出しが、である。

 彼らが得意先に渡す企画提案書の多くは、パワーポイントで図表を交えて美しく整理されている。よく読めば、もっともなことが書かれている。教科書的には正しいのだ。

 でも、現実ではタイトルや見出しだけを見て、説明を聞く価値があるかどうかを判断されてしまう。価値がない、と思われると続きを真剣に読んでくれないし、説明も聞いてくれない。当然、その案件を本気で実現させようなんて誰も思わない。「検討しましょう」という返事だけで、実質はゴミ箱行きなのだ。

 そう。偏差値50=人並の文章では、厳しい言い方をすれば、何も仕事をしていないのと同じなのだ。