政府は、4000億円規模の中小企業への資金繰り支援を柱とした総合経済対策のとりまとめを急いでおり、今日(8月29日)中にも、その政府案が公表される見通しだ。この対策のための補正予算の編成は、9月12日召集の臨時国会でも最大の焦点となる見通しになっている。

 だが、政府はこうした中小企業への資金繰り支援の必要性を訴えながら、その一方で、2009年の改正貸金業法の完全施行に代表される、個人の資金繰りを悪化させかねない過剰規制を進めており、沖縄では戦後最大の倒産劇という地元信販会社オークスの破綻が表面化した。

 すでに地方では、その弊害がくっきりと浮かび上がっているわけで、総合経済対策論議によって、政府がいくら取り繕おうと試みても、福田康夫政権の経済政策のちぐはぐさは隠しようがない。

融資の総量規制が起こした
沖縄大手信販の倒産劇

 本土ではほとんど注目されることがなかったが、7月14日、沖縄で「県内で戦後最大」という倒産劇があり、地元の経済界に大きな衝撃が走った。沖縄を地盤にクレジットカード事業と消費者金融業務を展開していたオークス(本社那覇市、新里久社長)による那覇地裁への民事再生法の適用申請がその倒産劇で、同社の負債総額は486億円に達した。発表によると、同社は事業をカード部門に絞り込み、再建を目指す方針という。

 このオークスという信販会社ほど沖縄に根付いたノンバンクはない。同社は、沖縄が本土に復帰する直前の1972年5月12日に「沖縄信販」の社名で設立された会社だ。1987年に当時の日本信販(現三菱UFJニコス)と提携、1992年に「Okinawa Credit Service」の頭文字を取った現在の社名オークスに変更。カード会員24万人、ETC(自動料金収受システム)利用者5000人を誇っていた。

 ただ、2006年末に成立した改正貸金業法が、個人向け無担保融資の上限金利を18%まで引き下げることと、融資の総額を原則年収の3分の1までとする総量規制の導入を打ち出したことがオークスの収益・財務基盤を直撃。同社は、2008年3月期に185億円の純損失を出し、170億円の債務超過に陥った。特に、オークスの足を引っ張ったのは、過払い金返還請求などに備えるための約170億円の引当金の計上だった。