2009年に入って、5つの大学が募集停止に追い込まれました。
過去10年間、大学の経営破綻は3校しかありません。この5校の破綻・廃校が決まったわけではありませんが、それでも異例の事態であることに変わりはありません。
今、それほど大学経営は窮地に立たされています。それもそのはず、1992年にピークを迎えた18歳人口は、毎年3%平均というすさまじいスピードで減少してきました。
今後10年間は、ピーク時の4割減の120万人で安定的に推移するものの、一方で大学自体の数は逆に増えており、再編・淘汰は必至です。
編集部では、そんな大学の実態を徹底調査、全国立大学・私立大学の売上高、最終損益、総資産データを入手し、ランキング化しました。大学の規模・収支を反映させたランキングは本邦初です。
そんな状況下で、なぜ大学は増え続けたのでしょうか。
18歳人口のピークであった92年に523校あった4年制大学は、09年度には773校に達しています。その背景に見え隠れする、天下り先を確保したい文部科学省の思惑を暴きます。
さらには、全入時代に危機感を抱く短期大学・専門学校を経営する学校法人も、大学設立に躍起になっています。
生き残りをかけた大学間競争は、必ずしも健全なものとはなっていないようです。たとえば、昨年のリーマン・ショック以降に注目された、資産運用の大損失。神奈川歯科大学に至っては、元理事の逮捕にまで及びました。
多くの大学がハイリスク投資に手を出したのも、経営環境の悪化が理由でした。商品の知識はほとんどなく、いかに杜撰な運用が行なわれていたか、その実態を浮き彫りにします。
それだけではありません。各大学は、学生獲得のためにこぞって「AO入試」を導入しています。学力試験を行なわず、面接試験などで合否を判定するというものですが、なかにはオープンキャンパスで模擬面接を受けた高校生に、その場で「仮合格証」を渡す大学すらあるようです。
今や、一般入試で大学に入学する学生は5割にもなりません。その結果、大学は学生の学力低下に悲鳴を上げています。学生が茶髪をやめたら1万円を支払うという案を真剣に議論したという大学や、学生のプライベートのスケジュールをネット上で管理する大学さえあるほど。
個別大学では、東京大学をはじめ、100年を超えるライバル対決を繰り広げる早稲田大学vs慶應義塾大学、日本最大のマンモス大学である日本大学にフォーカスしました。
そのほか、ブランド力がなくても、独自の取り組みや決め細やかな教育体制によって就職実績を出す大学も数多く紹介します。これらの事例には、多くの大学が学ぶべき「生き残るヒント」が隠されていそうです。
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(『週刊ダイヤモンド』編集部 池田光史)