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需給逼迫の観測が強まる中で
油価はイラク情勢に敏感に反応

芥田知至 [三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員]
2014年7月7日
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 イラク情勢の緊迫化を背景に原油相場が昨年9月以来の高値水準に上昇してきている。

 イラクでは、イスラム教スンニ派の過激派「イラク・シリアのイスラム国(ISIS)」による攻勢が続いており、今後、首都バグダッドや同国南部の産油地帯に迫るとの懸念がある。

 ISISは、隣国シリアでの内戦により、資金や人材を集めることに成功し、今年1月にはイラク中部のファルージャを支配下に置くなど、スンニ派住民が多い地域に勢力を伸ばしていた。

 イラクでスンニ派の過激派が勢いを増す背景には、旧フセイン政権下で厚遇されてきたスンニ派が、現マリキ政権の下では冷遇されているとの不満を持ちやすいためとされる。

 一方、4月30日に行われたイラク連邦議会選挙では、マリキ首相が率いるシーア派中心の政党連合が議席を増やし、勝利した。もっとも、このことが政権の安定につながるという見方は少なく、政権によるシーア派主導の色合いが濃くなって、スンニ派やクルド人勢力との関係が悪化することが懸念されていた。

 こうした中、ISISは6月10日に、イラク第二の都市であるモスルを陥落させ、バグダッドに向けて侵攻すると懸念されたため、イラク情勢への危機感が一気に強まった。

 イラクの主要な油田や港湾は、シーア派の住民が多い南部に集中しており、スンニ派の過激派であるISISは浸透しにくいとみられているものの、マリキ政権への信頼感が低下しており、原油供給の安定性を含めてイラク情勢の先行きへの不安が強まっている。

 もっとも、イラク情勢が緊迫化する前の段階で、原油市場では、需給引き締まり観測が強まりやすくなる方向への地合いの変化が意識され始めていた。

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