売上げに貢献する現場の「プレーヤー」としての役割と、部下の育成・指導などを行う「マネジャー」としての役割を共に担うプレーイングマネジャーの存在が普通になっていますが、現在では、一般の社員であっても一人何役もこなすマルチタスク型の仕事を担うことが求められています。

 マルチタスクになると仕事の精度が落ち、その分、ミスが増えます。したがって、多くのマルチタスクを抱えているところに、新たな仕事が突っ込まれそうになると、自然と及び腰になるのです。

 上司からすると、仕事を依頼するたびに嫌な顔をされるのは気分の良いものではありません。そのため、ついつい嫌な顔をせずに快く引き受けてくれる部下に依頼するようになります。そうすると、それだけで高い評価を与えようという心理が働くのです。

 ただし、仕事をたくさん抱えても、ミスが多発するようだと上司からの信頼も崩れて逆効果です。いくら余分な仕事に嫌な顔をしないといっても、ミスばかりで業務に支障をきたすようでは、さすがに仕事を頼もうとはしなくなります。また、単純に仕事量が増えるので、よほど仕事が速い人でない限りは、物理的な残業時間が多くなる傾向にあります。

 したがって、マルチタスクは中途半端な気持ちで取り組むと破綻してしまいます。それなりの覚悟を持って臨んでください。ただし、マルチタスクに取り組む経験は必ず将来の役に立ちます。人の2倍、3倍と経験を積み重ねることになるので、人一倍、成長のスピードが速くなって当然です。

「納期マイナス1の法則」を徹底する

 もうひとつ、「仕事ができる人」というイメージをアピールする方法として、「納期マイナス1の法則」をお勧めします。

 子どもたちが夏休みの宿題を終えるのは、大半が夏休みの最終日です。かくいう私もそうでした。つまり、ほとんどの子どもには先に宿題を終わらせておくという発想がありません。仮にあっても、まだ日にちがあるからと、ついつい先送りしているうちに最終日が来てしまうのです。

 大人も一緒です。私は仕事をギリギリの納期で仕上げることを、”夏休みの宿題現象”と揶揄していますが、納期ギリギリで仕事を終える社員がどこの会社でも多いのではないでしょうか。

 ここにチャンスがあります。「納期ギリギリでも、丁寧に仕事をしたほうがいいのではないか」とうそぶく人もいるでしょうが、それは言い訳に過ぎません。丁寧な仕事と納期ギリギリは関連性のある一対のことではないからです。余裕のある丁寧な仕事を心掛ければすむ話です。