断絶の時代
ダイヤモンド社刊 2520円(税込)

 「50歳といえば働き盛りである。その彼らが仕事に疲れ飽きたということは、第一の人生では行き着くところまで行ったということであり、そのことを知ったということである」(『断絶の時代』)

 趣味や教養では生き返れない。プロの味を知っているからには素人の時間つぶしでは飽き足りない。

 カネは持っていても、趣味を生活の中心に持ってくることはできない。その気はない。仕事以外のものに生きるには、かつての貴族のように、子どもの頃からなれていなければならない。

 彼らが必要としているものは貢献である。子どもは成人しローンは終わった。知り尽くした仕事に関心を失った者が、なにか新しいことで貢献したがっている。

 組織のほうも、飽きて貢献のできなくなった人たちから解放されたい。一人ひとりの人間のほうも、定年という締め切り日とは関係なく、再び生産的に働けるようにならなければならない。

 したがってドラッカーは、第二の仕事の卸売市場をつくる必要があると言う。特に若い人たちが後ろにつかえていない仕事に彼らが就けるようになったとき、初めてわれわれは労働寿命の延長という現代の偉業を生かすことができたといえると言う。

 「仕事に挑戦を感じなくなった者は成長が止まったとされる。だが有能であって病気でないならば、仕事さえ変えれば再び成長する。刺激と充実の源だった仕事への倦怠から逃れるための酒や、火遊びや、精神分析医よりもはるかに面白いはずである」(『断絶の時代』)