エンドユーザーをビジネスの中核にする日本のある上場企業が社内の幹部会で2030年への展望を披露した。しかし、ネットビジネスにはまったく触れなかった。同社の中国人社員がため息をつきながら、私のところに来て転職についての相談を持ちかけてきた。「中国出張で見たビジネス風景とはあまりにも離れすぎていて、会社の将来に希望を持てなくなった」と。

年率30%成長予想の国際電子商取引

 その気持ちは痛いほどわかる。近年、中国では、従来型貿易の成長が鈍っている。しかし、その一方で、国際電子商取引は急速に伸びている。中国商務部のデータによれば、2011年の中国の国際電子商取引額は1.6兆元で前年同期比33%増、2012年は2兆元で前年同期比25%増であったのに比べて、同じ時期の従来型の対外貿易の伸びはわずかに6.2%に過ぎなかった。

 そのため、国際電子商取引は大きな潜在力を秘めており、将来的に中国の外国貿易の重要な成長株となるであろうと人々が見ている。中国商務部の推定では、2013年に3.1兆元を突破した中国の国際電子商取引規模は2016年には6.5兆元に達し、年平均成長率は30%近くなるだろう、という。

「海淘」、「海代」が人気のショッピング方式

 日本の読者に、中国の国際電子商取引の現状を知っていただくため、中国の国際電子商取引関連の公式発表資料をもとに下記のようにまとめてみた。

 B2B貿易が中国の国際電子商取引のなかで主導的な地位を占めている。アリババ、環球資源、中国製造網、敦煌網などといった電子商取引プラットフォームを利用して自社製品の情報を掲示し、顧客企業を獲得して取引を行う。企業が独自にB2Bサイトを立ち上げている場合もある。蘭亭集勢(Light In The Box)、易宝、唯品会などがその典型例である。