魚偏に春と書いてさわらと読む。

 当然、春の魚だと思い、鰆の煮付けが食いたい、やっぱり旬ものはいいよね、とリクエストしたら、あら、鰆は冬の魚よと家内に言い返され、何を言っているのだ、鰆は魚偏に春と書くんだぞ、春の魚に決まってるじゃないか、むかしつきあってたガールフレンドは梅雨の時期にいつも鰆の煮付けをつくってくれてさ、それが美味くて……、あ~ら、むかしのガールフレンドって、××ちゃんかしら、それとも××ちゃん? もしかして××ちゃんだったりして。

 という会話がずいぶんとむかし……、結婚間もないころにあって、以来、我が家で、鰆は冬のお魚になりました。むかしの女を知っている女房ってのは考えものだな、と思いながら調べたところ、鰆の旬は、関西が春、関東は冬なのだそうです。

 関東と関西で旬の時期が違うなんて、鰻のさばき方みたいだな――、ということで、鰻のお話です。ウナギは、何故か関西では腹開き、関東では背開きですね。

 ショックだった方も多いだろうが、先月十二日、国際自然保護連合(IUCN)が、ニホンウナギをレッドリスト(絶滅危惧1B)に指定した。過去三〇年で、生息数が五〇%以上減ったという基準を満たしてしまったからだ。

 絶滅危惧1Bというのは、1A、1B、2と三分類されたカテゴリーの中で「近い将来、野生で絶滅する危険性が高い」種を言う。1B指定は全部で六八〇七種あるそうだが、ジャイアントパンダやトキもここに含まれる。

 トキと同じだとするとものすごくピンチのようにも感じられるが、参考までに、1Aは「ごく近い将来、絶滅の危険がある」で四五五四種、2は「絶滅の危険が増大している」で一万七四二種だ。

 日本では、環境省がつくる日本版レッドリストに昨年の段階でニホンウナギを指定していたこともあり、鰻好きにすれば、来るべきものが来たといった感じだ。

 だが、レッドリストに指定されると、ゆくゆくはワシントン条約でウナギの輸入が禁止される可能性もあり、つまりは……、考えたくはないが、鰻はいまほど簡単に食べられる料理ではなくなる日も来かねない、ということだ。