「冬のボーナスも大幅カット。とても年末年始に旅行へ出かける余裕なんてない…」こんな状況のなか、“巣篭もり年末年始”を過ごすという方は多いはず。とはいうものの、ただ家でダラダラ過ごすのはもったいない!楽しく&2010年に飛躍するために読書をするのも1つの方法だ。これまで1万冊以上のビジネス書を読んできた「本のカリスマ」土井英司氏に、良い本の見つけ方と読書術、そして「年末年始を楽しめる書籍ベスト3」「2010年飛躍するためにお薦めの書籍ベスト3」を選んでもらった。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 林恭子)

――いざ本を買おうと書店に行っても、多くの本で溢れていてどの本を選べばよいのか迷ってしまうものです。そんな中から「良い本」に出会うには、どうすればよいのでしょうか。

土井英司
どい・えいじ/出版マーケティングコンサルタント、エリエス・ブック・コンサルティング代表取締役、日刊メールマガジン「ビジネス・ブック・マラソン」編集長。慶應義塾大学総合政策学部卒。日経ホーム出版社を経て、2000年にAmazon.co.jp立ち上げに参画。エディター・バイヤーとして、売れる本をいち早く見つける目利きと斬新な販売手法で『ユダヤ人大富豪の教え』(50万部突破)など数々のべストセラーを仕掛け、「アマゾンのカリスマバイヤー」と呼ばれる。 2001年、同社のCompany Awardを受賞。独立後は数多くの著者のブランディング、プロデュースを手掛け、著者の強み(USP)の発見からブランド構築、出版戦略、マーケティングまでをトータルで行う業界屈指のプロフェッショナル。同時に、出版社への企画・PR・マーケティングのアドバイス・支援も行う。

 良い本を出会うために注意すべきことが3つあります。それは、①表紙に惑わされないこと、②分厚い本を毛嫌いしないこと、③分野を選ばないこと、です。

 確かに書店は多くの本で溢れているため、皆さん立ち読みもせず、吟味しないで購入してしまっている傾向にあります。そこで陥ってしまっているのが“表紙の罠”です。最近は目を引く装丁とタイトルの書籍が多数発売されているので、思わず手にとってしまうかもしれません。しかし、中身を読んでみたら「がっかり…」ということもあるのではないでしょうか。ですから、まず大切なのは「見た目に左右されない」ことです。

 また、多くの方が避けがちなのが「分厚い本」です。見た瞬間にひるんでしまう気持はわかります。しかし、「人がひるむ本」ほど価値があり、実りが多いものです。多くの人が読まない本であるということは、希少性があり、非常に価値が高いものですから、ぜひチャレンジしていただきたいと思います。

 さらに皆さんがしてしまうのが、「分野を選びすぎる」ということです。自分の好みで本を選んでいると、どうしても偏った本ばかりになります。しかし、それでは学びにならず、いつまでも成長は得られません。ですから、あえて自主性を捨てて、異質なものを取り入れてみることも大切です。別ジャンルにこそ意外とヒントは隠されているものなのです。

 そして、良い本に出会う一番手っ取り早い方法は、一流の人や自分の尊敬する人に「人生の1冊」を聞くことでしょう。ぜひ、「あなたの人生の1冊を教えてください」と言ってみてください。そう聞かれると、きっと本当に良い本を教えてくれるはずです。そのときもしかすると、自分の好みではない本を紹介されるかもしれません。ですが、あえて自主性を捨てて受け入れてください。きっと、相手との共感の幅が広がり、会話が弾むようになり、ひいてはビジネスがうまくいくきっかけにもなるかもしれません。