50兆円市場に切り込む

Nutanix社が自社開発した製品は、シンプルなブロック状をしており、必要分だけ積みましてゆくことで拡張できる

 ところで、ニュータニックスの製品がかくも注目される理由はどこにあるのか。その技術的インパクトについて説明しよう。

 ニュータニックスは、旧来のデータセンターが抱えていたボトルネックに目をつけて、凄腕のソフトウェアのエンジニアたちがその課題を解決したことで、新しい商品を生み出すことができた。

 2000年代に登場した「SAN(Storage Area Network)」という広く普及した方法は、集積したハードディスクドライブ(HDD)を光ネットワークでコンピュータに繋ぎ、高速にアクセスするというデータセンターに欠かせないソリューションだった。

 ところが、導入のための費用は非常に高価である上に専門知識が求められ、一部の大企業にしか手が届かないものだった。さらに構造上の弱点として、記憶媒体であるHDDと、データ処理をするCPUをつなぐネットワーク部分に、データの“交通渋滞”が発生しやすかった。拡張性にも乏しく、その規模を拡大するのには大きな負荷がかかっていた。

 それらを過去の遺物として最初に見切ったのが、グーグルをはじめとするクラウド系の新興企業だった。彼らにとってデータセンターの効果的な運用は、事業の命運を左右する。そのため格安の部品やハードウェアを用いながらも、バラバラに蓄積されているデータをあたかも一つのファイルのように扱える「分散型ファイルシステム」を開発し、自由に規模を拡大できる巨大なデータセンター群を作り上げたのだ。

 ニュータニックスの製品は、元グーグルの技術者たちがそのような設計思想を引き継ぎながら作った市販品だ。その技術の中核は、仮想化されたシステムにおいて、最適なデータの出し入れを実現することのできる独自のコントローラーソフトウェアにあるという。

「F1のレーシングカーも、高性能なエンジンや部品を載せるだけでは最高性能は引き出せない。大事なのはチューニング。弊社の製品も、天才と言われるエンジニアたちが性能を上げるために最後までチューンアップしたからこそ、驚くような性能に仕上がっています」(岡田代表)

 米調査会社のガートナーによれば、ITの巨大インフラとなっているデータセンターに関わる市場規模は年々増加しており、世界では50兆円規模にまで膨れ上がっていると推測している。

 ニュータニックスが進めるデータセンターの「新旧交代劇」は、今後も目が離せないものになりそうだ。