ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
株式市場透視眼鏡

増益トレンドの屈折を迎えた日本企業の株価の行方

2008年2月27日
著者・コラム紹介バックナンバー

 日本株下落の要因は、第1にサブプライムローン問題に端を発した金融の混乱、世界的な景気減速であるが、第2に企業業績のモメンタム(方向性)悪化を指摘できる。2002年3月期の減益決算後、特にここ2~3年は、「期初の会社予測は慎重で、業績は上方修正される」というパターンが定着してきた。過去最高決算は珍しくなく、株価においても有力なポジティブ要因であった。だが、ここにきて原材料・エネルギー価格高、為替の円高傾向、サブプライムショックと世界的な景気減速を勘案すると、どう見ても企業業績は屈折点を迎えた可能性が高い。すでに法人企業統計による経常増益率は、21四半期ぶりのマイナスとなった。最高決算の相次ぐ更新というバラ色の時代は、過ぎつつある。

業績悪化局面の日経平均株価と法人企業統計推移

 たとえば、新日本製鐵をはじめとした高炉は、空前の利益をたたき出してきたが、原材料(原料炭・鉄鉱石等)価格、船の賃借料の高騰によって、利益が圧迫され始めたことが明白になった。中国をはじめとして高品質の自動車用鋼板へのニーズは強いが、米景気減速が世界に影響を及ぼすことを考えると、2007年までのような「晴天に雲なし」の状況が続くとは思えない。原材料価格の上昇の一方で、需要にかげりが見えるリスクが台頭しているのだ。2008年の豪州原料炭は4割の上昇観測があり、鉄鉱石もBHPビリトンやヴァーレ(旧リオドセ)が強気で、価格の大幅引き上げは回避できそうもない。

 全般的には、鉄鋼、化学、繊維、石油、紙パ等の素材産業が、原材料価格の上昇を製品価格へ転嫁するのが困難な情勢で、利益の下振れ圧力が強まっている。また、世界的な需要鈍化を受けた電子部品、精密といったハイテクや、改正建築基準法の悪影響が顕在化した建設・住宅にも下方修正企業が目立つ。こうした状況は、2007年10~12月期の決算が数年にわたる業績拡大のターニングポイントであり、2009年3月期の鈍化を強く示唆しているように思える。

 米国が「景気後退」の軌道に乗っている可能性が高いことを考えると、日本の景気・企業業績にも下振れ圧力が高まるだろう。過去の経験則では、企業業績がピークアウトから悪化に転じると、日経平均株価のパフォーマンスは悪くなる。売られ過ぎ後のリバウンドは期待できるが、上値の重い展開が続くだろう。

(三菱UFJ証券シニア投資ストラテジスト 藤戸則弘)

今週の週刊ダイヤモンド

2017年1月28日号 定価710円(税込)

特集 劇変世界を解く 新地政学

世界史の大転換が始まる

【特集2】
銀行界も戦々恐々
コンビニATM戦争

【下記のサイトからご購入いただけます】

(ストアによって販売開始のタイミングが異なるため、お取扱いがない場合がございます)

【下記のサイトからご購入いただけます】

(ストアによって販売開始のタイミングが異なるため、お取扱いがない場合がございます)

【下記のサイトからご購読いただけます】

(ストアによって販売開始のタイミングが異なるため、お取扱いがない場合がございます)

スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事


株式市場透視眼鏡

株式投資家に向け、具体的な銘柄選びの方法と銘柄名、株価の動向見通しなどを分析・予測。現役トレーダーが執筆。定量的なデータを駆使し株式投資に役立つ情報満載。

「株式市場透視眼鏡」

⇒バックナンバー一覧