社長をやる以上、決算書や財務の勉強くらい必要です

田中 先ほど社長を継ぐ前に決算書を見せてもらったというエピソードをお聞きしました。決算書の何をどのように見て「これは行ける!」と判断したんですか?

望月 単純に在庫を絞っていけば、財務体質は結構良くなるなと思いました。これは私もびっくりしたんですが、周囲にいる親の会社を継いだ社長に「会社を継ぐときに決算書を見たか?」と聞いたら、誰も見ていないんですよ。多くの社長は、自分は長男で会社を継ぐのが運命だと感じて引継いでいるだけです。私は、この10年、いろいろな後継者から相談を受けましたが、全員「決算書なんて見るの!?」という反応です。

田中 アメリカなどでは、社長を引継ぐときに、グランドデザインを描くために必ず自分でデューデリジェンスをします。前社長の責任と自分の責任を明確にする意味もあるわけですが。

望月 親から会社を継ぐときの事情は、銀行に言われたとか、親に言われたとか、いろいろありますが、変な使命感で継ぎましたというケースが多いんですよね。私のところへ相談に来た後継者に「決算書を見た? 会社の内容は知っているの?」と聞くと「決算書ですか?」「見たほうがいいんですか?」という反応が返ってきます。良い会社だと聞かされて、財務内容を見ずに継いでいる事業承継が多いんです。

田中 バリバリの営業マンでしたという後継者には、財務などのマネジメント知識が不足しているということでしょうか。

望月 そうかもしれませんね。社長をやる以上、決算書や財務といった経営の勉強は、必要だと思います。


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