「経営陣」と「現場トップ」に
同じ船に乗ってもらう

 ここまでの、ニーズを把握し、施策を検討し、学習者を知る、という作業を通して、研修企画の骨組みができあがりました。

 しかし、もう一つだけ、研修を成功に導くために意識しておくべきポイントがあります。

 それが、4、「経営陣」と「現場トップ」のステークホルダー化です。

 簡単に言うと「研修の利害関係者である経営陣や現場マネジャーらに対し、なるべく早い時期から『このニーズ、課題に対応するために、今こんな研修を企画しています』といった報告や提案などを行い、後から協力が得られやすいようにしておく」ことです。

 研修の企画段階から経営陣や現場マネジャーなど利害関係者を巻き込み、「お墨付き」を得られるかどうかで、その研修企画の組織内での位置づけは大きく変わりますし、それによって研修参加者のモチベーションも左右されるからです。

 また、研修を持続していく上でも、経営陣や現場マネジャーに、早い段階から研修企画の背景や問題意識、企画の意図などを伝えて当事者として「同じ船に乗ってもらう」ことで、研修の終了後、研修報告を行う際も、理解されやすい、というメリットがあります。

 いかがでしょうか。経営陣・現場および組織のニーズを探索し、ニーズに即した施策を検討した上で、研修が最適であると判断し、最適な研修対象、学習者の設定と分析をおこない、経営陣、現場トップのステークホルダー化を行う。決して容易なプロセスではありませんが、冒頭にご紹介した実務家の言葉を借りれば「企画7割、運営3割」だそうですから、きっちりとした研修企画ができれば、後はスムーズに進めることができるはずです。

 次回は、研修のデザインに入っていくこととしましょう。

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