鳩山首相の国連スピーチは
対米関係強化の出発点に

 “鳩”が国連総会というスタジアムで天空高く飛び立った。

 今回の鳩山由紀夫新首相の外交デビューは予想以上に成功だったと言うことができる。

 それにしても、米大統領が、オバマ氏になってよかった。もしもブッシュ政権であったら鳩山首相の活躍も空振りに終ったかもしれない。

 オバマ政権の主な政策転換には次のようなものがある。もちろんそれらは相互に関連している。

(1)ブッシュ政権のような単独行動主義を転換して、国際協調主義を貫く。
(2)「核のない世界」を目指し、核軍縮、核廃絶の方向に向かって進む。
(3)温室効果ガスの削減など、環境政策に建設的努力を傾ける。
(4)グローバル経済の功罪を見極め、それをコントロールするための規制に前向きに対応する。

 鳩山首相の国連や首脳会談における発言は、こんなオバマ政権の方向に基本的に沿うものであった、

 今までの日米関係は、経済と軍事に過度に傾きがちであったが、グローバルな課題に共に取り組むという関係がこれから格段に強化されるだろう。その点できわめて重要な転換の出発点となり得るものとなった。

「国家戦略局」が掛け声倒れなら
官僚依存へ逆戻りする可能性も

 さて、帰国した鳩山首相を待ち受けていたのは“政治主導”に黄色の信号がともるような政権体制の構築作業であった。

 どうやら政治主導の司令塔になるはずであった「国家戦略局」が腰砕けに終る雲行きとなっている。もしも本当にそうなれば、せっかくの鳩山政権は急失速することを断言しておく。