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30歳で400億円の負債を抱えた僕が、もう一度、起業を決意した理由
【第1回】 2014年7月17日
著者・コラム紹介バックナンバー
杉本宏之 [起業家]

第2章 暗雲-- 「傲り」を象徴する出来事が
僕を蝕み始めていた【その1】
「6億円詐欺事件が示していた警告」

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ゼロから起業し、エスグラントは上場を果たしものの、リーマンショックにより全財産を失い破綻、その後再びゼロから起業、成功させた若き経営者が心に刻んだ教訓を綴った『30歳で400億円の負債を抱えた僕が、もう一度、起業を決意した理由』の出版を記念して、第2章を順次公開。上場を果たしてまさに人生の絶頂にあった著者の視界に暗雲が漂い始めます。第1回は6億円詐欺事件の顛末。

6億円詐欺事件が
示していた警告

 サブプライム住宅ローン危機前夜、2007年6月の決算直前のことである。
「社長、世田谷区池尻で割安の土地が売りに出ています」
 ある朝、建築担当の部長から報告を受けた。金額は6億円。たしかに、広さと立地を考えると、買って絶対に損はない物件だ。

 「なるほど。相続案件の事情はわかるが、それにしても安すぎるのが気になる。さらに詳しく内情を調べる必要があるな」
 格安の不動産には、それなりの事情があるものだ。土壌汚染、境界不確定、建物なら違法建築や既存不適格、耐震強度偽装の姉歯事件のようなこともある。

 いずれにしても、東証上場に向けて少しでも実績を上げたい局面である。少々のリスクであれば飲み込んで、勝負に出る腹づもりではあった。数日後、調査を指示した部長から報告があった。
「どうやら、相続で親族がもめているようです」

 ある親族が、土地を分割して相続することになったのだが、売りに出ている側の土地を相続するほうに経済的事情があって、できるだけ早急にキャッシュが欲しい。だから、早めに決めてくれるなら格安で譲り渡すという。すなわち「相続税が払えないから、早く売りたい」ということだった。

 仲介に立っているのは、「ゴールドマン・トレジャー」という会社だった。今までに取引実績がない業者だったこともあり、その会社の反社会勢力チェックと、取引先のヒアリングなど、慎重に進めるように指示をした。

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    杉本宏之(すぎもと・ひろゆき) [起業家]

    1977年生まれ。高校卒業後、住宅販売会社に就職、22歳でトップ営業となる。2001年に退社し、24歳でエスグラントコーポレーションを設立。ワンルームマンションの分譲事業を皮切りに事業を拡大し、総合不動産企業に成長させる。2005年不動産業界史上最年少で上場を果たす。2008年のリーマンショックで業績が悪化、2009年に民事再生を申請、自己破産。その後再起し、エスグラントに匹敵する規模にグループを育て上げた。

     


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    業界の風雲児として急成長企業を育て、最年少上場記録を打ち立て、最高益を叩きだした矢先、リーマンショックで巨額負債を抱え破たん。どん底から再起動へと歩む起業家は、失敗から何を教訓とし、迷惑をかけながら支えてくれた人々に何を伝えるのか? 本連載では、『30歳で400億円の負債を抱えた僕が、もう一度、起業を決意した理由』の一部を順次掲載していきます。

    「30歳で400億円の負債を抱えた僕が、もう一度、起業を決意した理由」

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