注目された滋賀県知事選挙は完全無所属で立候補した前民主党衆議院議員の三日月大造氏が当選した。

 当初は圧勝を予想された与党(自民、公明)推薦の小鑓隆史氏が終盤で一気に抜き去られ、予想外の敗北を喫したのである。

 投票率は50.15%。参院選と同日選となった前回(61.56%)には及ばないものの、前々回の44.94%を大きく上回った。これも注目すべきであろう。

滋賀県知事選で
与党が敗北した2つの要因

 なぜこうなったか。敗因として都議会でのヤジ事件などを指摘する向きもあるが、その影響はさほどではないだろう。

 やはり安倍晋三政権の2つの強行が主因であろう。1つは原発再稼働の推進、もう1つは集団的自衛権の閣議決定だ。

 当選した三日月氏は、「卒原発」の象徴的存在である嘉田由紀子知事から後継者指名を受け、原発政策の転換を旗印にした。

 しかも今回の知事選は東京都都知事選とは環境が大きく違っている。

 都知事選終了を待って原発推進の新しいエネルギー基本計画が正式に閣議決定され、それによって川内原発の再稼働が目前に迫っている。

 だから、今回の県知事選で与党推薦の候補は「脱原発」や「卒原発」を偽装できない。

 これに対して都知事選では、昨年末に予定されていたエネルギー基本計画の決定が意図的に先送りされたから、与党の支援を受けた候補も何気ない顔で「私も脱原発だ」と言うことができたのである。