89年受け継がれてきた「NHKの話し方」とは?

 NHKには、日本で放送が始まって以来89年にわたり培ってきたノウハウを学ぶ研修があります。

 話し方、原稿の書き方、カメラ撮影、映像編集といった実習のほか、公共放送で働く放送人としてのモラルなどを教える人材育成が行われています。
 講師は、NHKの大先輩の方々。

「NHKの話し方を、あなたたちは継ぎなさい」

 その研修である講師が言った忘れられない言葉です。

 この言葉には、日本で最初に開局した放送局としての正統派の誇り、話し言葉へのこだわりがありました。

 実際の放送現場はシビアです。
 テレビを見ている視聴者は、信頼できないと思ったら、ほんの数秒で、ピッピとチャンネルをかえてしまいます。

 そうならないために、NHKにはある極意が受け継がれています。
 89年の歴史の中で培われた、数秒のうちに信頼される話し方のノウハウです。それはまさに「NHK式」とでも言うべき、信頼されるための方法です。

 かつて、私はNHKのキャスターから民放のアナウンサーになりました。
 しかし、わずか半年でクビになりました。

 その後、NHKの試験を受け直し、再入局。直後に担当したニュース番組で「視聴率20%超え」という経歴を持っています。

 民放を半年でクビになった私が、なぜNHKで高視聴率を取れたのか?

 その謎をどうしても解明したいと思いました。
 さらに、「NHK式」の信頼される極意を心理学で科学的に解明し、誰もが再現できるものにしたいと、NHKでアナウンスの仕事を続けながら大学院で心理学の研究を始めました。

 そして、実際の放送で心理学のテクニックを使ったところ、視聴者やスタッフからの反応が明らかに変わったのです。