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エンジニア集団を束ねるピュアな表現者
チームラボ社長 猪子 寿之

週刊ダイヤモンド編集部
【第21回】 2008年2月29日
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チームラボ社長 猪子 寿之
チームラボ社長 猪子 寿之

 オフィスの至るところで、ノートパソコンを手にミーティングが行なわれている。仕切りのない会議室で、激しく意見がやり取りされる。全員20~30代前半のプログラマーやウェブデザイナーで、表情は真剣そのもの。

 総勢130人にも及ぶエンジニア集団、チームラボを束ねるのが猪子寿之だ。

 主な事業はウェブ制作やデザイン、コンサルティング。また、独自のアルゴリズムを開発し、「SAGOOL」という検索サイトを立ち上げ、運営している。

 「うちの会社は、売り上げ目標も利益目標も設定していない。よいものをつくる、それだけ」と猪子は笑う。その言葉の根底には、すべては細部の積み重ね、という経営観がある。社員全員がその考えに共鳴しており、よいものをつくる、という至ってシンプルなベクトルで開発に励んでいる。

 「商売ってそういうものでしょ。お客様に喜んでほしい、ユーザーに満足してほしいという思いがあるだけ」と猪子はあくまで屈託ない。

中学時代に覚えた
底知れぬ不安感が後の創業へつながる

 創業は2001年だが、その意思の発芽は、猪子の中学時代にさかのぼる。

 バブル崩壊直後。日本全体が暗い時代の到来に怯えているように、猪子には見えた。「このままでは自分がおとなになったとき、日本は今の豊かさを維持できていないだろう」という不安感に似た思いに駆られた。

 自分がなんとかして日本を救わなければならない――。義務感とも不安感ともいえない思いがその後の起業に結び付いた、と猪子は語る。

 大学に入学して初めて、インターネットに出会う。「衝撃だった。それまでなにかしらの管理下にあったメディアを誰もが自由に使えるようになった。奇跡だと思った」と言う。そしてインターネットの世界で生きていくと決意した。大学卒業間際、友人5人でホームページ制作を請け負うチームラボを創業した。

 「会社設立当初はまだ学生で、オフィスは自分のアパートで家賃も給料も要らなかった」ため、それほど逼迫感はなかったが、8坪のオフィスに移転してからが大変だった。近所の風俗店のホームページをつくるなど、とにかく目の前の仕事をひたすらこなし、なんとか食いつないでいるような状態だった。

 理想とした「技術力をベースに文化を発信し、日本を豊かにする会社」とはほど遠かった。

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