トラックやSUV(スポーツ用多目的車)向けの大口径タイヤを得意とする東洋ゴム工業。2013年度は北米市場で業績を伸ばし、中期経営計画を前倒しで達成した。

東洋ゴム工業社長 信木 明 <br />新興国よりも、大型車が復権した北米を優先のぶき・あきら/1955年1月7日生まれ。58歳。広島県出身。大阪市立大学経済学部卒業後、東洋ゴム工業に入社。入社3年目に米国へ赴任して以来、国内外で経理・財務・管理部門を担当した。2013年から現職。Photo by Satoru Oka/Real

――2013年度の業績は売上高3702億円、営業利益372億円、経常利益383億円といずれも過去最高を更新しました。勝因は?

 北米の景気回復と、かねて取り組んできた品種ミックスの改善がうまく重なったことが大きいです。当社の得意分野であるSUV(スポーツ用多目的車)やピックアップトラックで使われる大口径タイヤの生産比率が高まりました。

 円安進行と原材料価格の安定も追い風でした。当社は国内生産比率がまだ70%ありますから。この2~3年、新興国に注力している他社は好景気に沸いた一方、我々は円高に悩まされました。それでも米国市場を重点的に、地道に商品開発やマーケティングの自助努力を続けたことが、今回の大きな上振れにつながりました。

――北米の自動車市場は大型車に回帰しているのですか。

 米国に行くとそうした自動車のトレンドを肌で感じます。ステイタスシンボルは大型車、特にSUVです。一部の地域、例えばカリフォルニアでは燃費規制やハリウッドスターが乗る車のイメージもあって、コンパクトカーやプリウスなどのエコカーの支持が高い。それでもテキサスから東へ行くと圧倒的に金持ちの車と言えばやはりSUV。キャデラックの「エスカレード」、リンカーンの「ナビゲーター」、トヨタの「セコイア」、フォードの「Fシリーズ」、シボレーの「シルバーラード」といったフルサイズのSUVがバンバン走っています。